「毎日が戦場だった」学級崩壊したクラスの担任代理を務めた小学校教員のエピソードが話題に トラブルで保護者へ謝罪、教頭先生の言葉に救われた

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2025年06月12日 07:00  まいどなニュース

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学級崩壊したクラスの担任が学校に来れなくなり、担任代理を務めたという小学校教員歴12年の小学校教員のエピソードが話題に(photoACより、「ハル14」さん撮影、イメージ画像)

「学級崩壊したクラスの担任が学校に来れなくなり、私が担任代理をすることに。
私の教員人生の中で最も過酷な6週間。
授業は成立せず、教室は騒然。
机を蹴る音、叫び声、廊下に飛び出す子どもたち。
毎日が戦場だった。」

【話題になった投稿】実際の投稿を見る

学級崩壊したクラスの担任が学校に来られなくなり、担任代理を務めたという小学校教員歴12年の教員のエピソードがX(旧Twitter)で話題になりました。

投稿したのは、「ひのりえ」さん(@hinorie555)。ひのりえさんによると、学級崩壊したクラスを代理で担当したのは、6週間ほどだったとか。そのクラスは、まさに“学級崩壊”の真っただ中にあったといいます。

授業中に教室内でウロウロ、突然廊下に飛び出す…毎日が模索の連続

「席につけない子が何人もいて、授業が始まっても教室の中をうろうろしたり、突如廊下に飛び出してしまうことも。机を蹴る音や叫び声が響く中、教室の中は常に落ち着かず、授業を進めるどころではありませんでした。教頭先生や担任外の先生方と連携しながら、複数の教員で子どもたちの対応にあたっていました。毎時間が綱渡りのようで、少しでも落ち着いた時間を作ろうと、あらゆる手立てを試みましたが…それでも、子どもたち一人ひとりの心にどう寄り添い、どう向き合っていくか。毎日が模索の連続だったと思います」

必死に立て直そうと努力したという、ひのりえさん。ある日、児童とトラブルになってしまいました。

「ある日、ひとりの児童が友だちに手を出してしまいました。私はすぐに間に入り、毅然とした態度で『暴力はいけない』と注意。ただ、それだけを伝えたかったのですが、そのとき私が使った言葉や語気が、本人にとってはきつく感じられたのでしょう。表情がみるみる険しくなり、反発するような態度になったんです。どんなに真剣でも、伝え方を間違えれば、子どもの心には届かない。あの時の出来事は、私にとって教師としての在り方を深く考えさせられました」

児童とのトラブルで、保護者の家へ担任代理と教頭が謝罪

そして、ひのりえさんは教頭先生とともに、その児童の保護者の家に謝罪に訪れることに。12月24日のクリスマスイブの日。

「事前の打ち合わせは特にしていませんでした。ただ『謝りに行く』…その共通認識だけで向かいました。私はコートを着ていましたが、教頭先生はスーツ姿。外に立っているだけで凍えるような寒さだったことを覚えています。『遅かったな』。扉が開くなり、保護者の怒声が。『担任代理だかなんだか知らないけど、あんた教師としてどうなの?』『こっちは被害者なんだよ!』保護者の言葉が次々と浴びせられ、こちらの事情や言い分を挟む余地なんてなくて。

私も教頭先生も、とにかく黙って聞くしかありませんでした。空気は張り詰め、少しでも間違えれば怒りが再燃するような緊迫感。でも、教頭先生は乱されることなく、静かに、相手の言葉を最後まで受け止めていました。私も隣で、黙って頭を下げ続けました。あの夜のことは、今でも忘れられません。教師という職業の重さと、保護者の『怒り』の裏にある『不安』や『期待』の深さを、痛いほど感じた夜でした」

保護者からの怒りの言葉を浴びて、黙って頭を下げ続けていたというひのえりさん。一方、教頭先生は保護者の言葉も受け止めながら、一歩も引かず、一切言い訳をせず、淡々と話を続けました。

「私たちの指導が未熟でした。申し訳ありません」
「ですが、◯◯くん(児童)も今のままでは、つらい思いをすると思います」

当時、教頭先生の真摯な“声”がその場で強く響いたそうです。

教頭の“姿勢と覚悟”に感動、対立ではなくて対話

「正直に言えば、私はずっと目を合わせられませんでした。保護者の怒りの熱が伝わってきて、顔を上げるのもつらかった。心のどこかで『ごめんなさい』以上の言葉が見つからなくなっていたんです。でも、教頭先生は違いました。一度も目をそらすことなく、まっすぐに保護者の目を見て、静かに、淡々と話を続けて。保護者の言葉は、最初は私に向けられていました。矛先が教頭先生に向かっても、その口調は強く、緊迫した空気が流れていました。

けれど、教頭先生は決して言い訳せず、事実を伝え、深く頭を下げました。感情ではなく、誠意で応える姿勢。そのうちに、保護者の声のトーンが少しずつ下がっていきました。こわばっていた眉間も、わずかに緩んでいくのが分かりました。最後にはふっとため息をつい、『……わかりました』と一言。気づけばその言葉には敬語が戻っていて、空気がやわらかく変わったのを感じました。信頼は、言葉で勝ち取るものじゃない。姿勢と覚悟で、少しずつ築いていくものなんだと、あのとき教わった気がします」

今回ひのりえさんが学級崩壊したクラスの担任代理を務めた時のエピソード。ひのりえさんにとって、教育という仕事の本質を見せつけられた貴重な経験だったといいます。

「私自身も教員として何度も謝罪に伺った経験がありますが、あの日の教頭先生の姿はまさに管理職という立場の重みを体現していました。保護者の方は、最初は怒りでいっぱいでした。でも、教頭先生は一切取り乱すことなく、誠実に、まっすぐに謝罪をされながらも、学校として伝えるべきことは丁寧に、はっきりと伝えていました。一歩も引かない姿勢。でも、決して対立するわけではない。『子どもを守る』という一点に全力を注ぐ姿に、私は胸が熱くなりました。

そのとき感じたのは、『大人が本気で向き合えば、対話は成立するんだ』ということ。謝罪とは、下手に出ることではなく、『責任を持って対話すること』なんだと、改めて教えられました。教育現場には、言葉にできないプレッシャーや葛藤が毎日のようにあります。でもその中で、子どもたちの未来を守るために立ち続ける大人がいる。それを目の前で見たことで、自分もまた、逃げずに立ち続けたいと思えた出来事でした」

    ◇  ◇

ひのりえさんは、小学校教員歴12年。元引きこもり専業主婦から40歳で教員に。小学校教員歴12年の経験を活かして学校現場でのストーリーやお子さんの教育に役立つ知識を毎日ポストしています。本の出版、執筆代行、執筆添削、Web記事作成などWebライターとしても活躍。Kindle作家でもあります。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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  • ウチのコの小1の時の担任も、教壇に立つのが怖いって保護者会で説明してやめちゃった。丁寧な先生だったけどね、先生も人間なんだよ
    • イイネ!6
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