
子どもの習い事をきっかけに、親同士の関係が自然と生まれることがあります。特に小学校に入学したばかりの時期は、親も子も新しい出会いが多く、戸惑いながらも少しずつ人間関係を築いていくものです。しかし、中にはそのペースをまったく無視し、出会ってすぐに距離感なく踏み込んでくる保護者もいます。Gさん(愛知県・30代)が出会ったのは、まさにそんな“強烈なママ”でした。
「あなた、どこに住んでるの?」初対面の洗礼
1年前、Gさんは夫の転勤で名古屋に引っ越しました。知り合いのいない土地での新生活には不安も多く、7歳と1歳の子どもを育てながらの毎日は試行錯誤の連続でした。
そんな中、小学1年生になった長男が興味を持ったのがゴルフでした。週に一度、市営のスポーツセンターで開催される小学生向けのゴルフ教室が、自宅近くで道具のレンタル付き・参加費1000円で受けられると市報で知り、体験に申し込むことにしました。Gさんは見学ブースからその様子を見守り、息子が楽しそうにクラブを握る姿を見て、すぐに入会を決めました。
迎えたレッスン初日。低学年のクラスは3人だけで、保護者の見学もGさんと、連れてきた下の子だけでした。ところが終了時間が近づいたころ、一人の女性が現れました。その女性はまっすぐGさんのもとに歩み寄り、いきなりこう話しかけてきたのです。
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「あなた、どの子の保護者さん? 何年生? どこの学校? どちらにお住まい? ここまではどうやって来たの? うちは〇〇通りの〜〜なんだけど、わかる?」
挨拶も名乗りもなく、まるで知り合いに話しかけるかのような勢いに、Gさんは思わず言葉を失いました。とりあえず、家はすぐ近くで、下の子どももいるため車で来ていること、名古屋の土地勘がなく通りの名前を突然言われても何もわからないことを伝えると、「じゃあ教えるわね」と言い、自宅までの道順を事細かに説明し始めたのです。
しかし、Gさんは普段カーナビに頼り切りの生活をしているため、「〇〇通りを右折して…」などと言われても、正直ちんぷんかんぷんです。
止まらない自己開示と、まさかのお願い
さらにそのママは話を続けます。
「実は私、葬儀会社で働いていて夜はお通夜が入ることもあって忙しくて…」と、ご自身の仕事について話し出しました。そして、突然こんなことを持ちかけてきました。
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「今後、レッスンが終わったら、うちの子、車で送ってくれないかしら?」
えっ、何を言ってるんですか…と、声には出さなかったものの、あまりに唐突な申し出に、Gさんは内心驚きを隠せませんでした。
そもそもこのママとはその日が初対面。まだ名前も知らない相手から、いきなり送迎をお願いされるとは思ってもいなかったのです。
「市の子育てサポート事業を使えばいいのよ」
Gさんが戸惑いながら、まだ小さな下の子がいるため、車とはいえ移動が大変なことを伝えました。すると、彼女はさらにこう続けました。
「市がやってる子育てサポート事業、知ってる? あなた、それを利用すればいいのよ。登録すれば、保育や送迎のサポートをお願いできるし、自分も手が空いているときに他の方を手伝えるのよ」
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一瞬、Gさんは何を言われているのか理解できませんでした。なぜ自分が他人の子どもの送迎のために市の支援制度を使わなければならないのか、理解が追いつきませんでした。
後から聞くと、その制度はGさんが住む自治体では、小学1年生になると対象外になるとのこと。彼女もかつてこの制度を利用していたけれど、使えなくなってしまったそうで、要するに「自分が使えないから、あなたが代わりにやって」という理屈だったのです。
そして次のターゲットへ
Gさんが曖昧に返事をしていると、もうひとりのお母さんが子どもを迎えに来ました。するとそのママは、今度はそのお母さんのもとに歩み寄り、まったく同じようなやり取りを始めました。
驚いたのは、その流れの速さと自然さ。「どこに住んでる?」「〇〇通り知ってる?」「じゃあうちの子送ってもらえる?」と、テンプレートのように同じセリフが繰り出されていきました。
偶然にも、そのお母さんの家が彼女の自宅に近いことがわかると、Gさんのほうを振り返りながら問題のママはこう言い放ちました。
「この人に送ってもらうことにしたわ!」
満面の笑みを浮かべながらそう告げられ、Gさんは正直、ほっとした気持ちと、その強引さに圧倒されるようなもやもやを感じました。
「お願い上手」の境界線
その後、そのママとは、子どもが同じ小学校に通っていることが判明しました。Gさんは校内ですれ違った際に軽く会釈をしました。しかしそのママは、Gさんのことをまったく覚えていない様子でした。Gさんは、「親しみ」と「図々しさ」は紙一重だと、あらためて感じたといいます。
近年は「地域で子育てを」「親同士で助け合いを」といった言葉をよく耳にします。確かに、孤立を防ぎ支え合うことは理想的です。ただし、「困ったときはお互いさま」という言葉が意味を持つのは、信頼関係が築かれてからのこと。今回Gさんが直面したような、初対面での過度なお願いは、そのバランスを崩してしまうのではないでしょうか。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
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