長崎への原爆投下から80年、福山雅治が故郷・長崎市で5000人の合唱隊と「クスノキ」歌唱

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2025年08月10日 04:01  日刊スポーツ

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長崎市の山王神社にある「被爆クスノキ」と福山雅治

長崎への原爆投下から80年となった9日、歌手で俳優の福山雅治(56)が故郷・長崎市で平和を願った。現存する「被爆クスノキ」を題材に作詞作曲した楽曲「クスノキ」を、平和祈念式典で地元の小学生たちが合唱。福山もNHKの音楽番組「MUSIC GIFT 2025〜あなたに贈ろう 希望の歌〜」に中継で出演し、5000人の合唱隊とともに「クスノキ−500年の風に吹かれて−」を祈りを込めて歌唱した。


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節目の日を地元長崎で迎えた福山は、式典で披露された「クスノキ」合唱に涙腺を緩めた。同曲を発表したのは2014年。「歌唱してくださった児童たちの年齢がちょうど11歳とか12歳なんですよ。曲と時を同じくしてこの世に生を受けた児童たちが、戦後80年のこの日に歌っている。『クスノキ』という楽曲の成長が彼らの成長とシンクロしちゃって、泣いてましたね」と話した。


爆心地から800メートルに位置する山王神社の、樹齢500年以上とも言われる樹木を題材に歌い続けてきた。原爆に焼かれながらも2カ月後に再び芽吹き、希望と平和の象徴になった。反戦歌ではない。生き物の尊さと、平等に生きられる世界への願いを込めた。“等身大の自身の歌”から“みんなの歌”にしたいと今年、合唱が入ったアレンジをリリースした。「『500年の風に吹かれて』というサブタイトルを付けてますけど、本当に音楽というものが時を超えてつながっていくことを、実感できる時間になっています」。


被爆者は高齢となり、経験を語れる人は減っている。命と平和の大切さを後世に伝える使命感を「あります」と明言する。自身も被爆2世であることを明かしているが「聞く側が構えなきゃいけない言葉になっている。被爆2世ですよっていうことを当たり前に伝えていけるようなメッセージとか環境作りは、音楽を通じて、エンターテインメントを通じて発信していきたいとはずっと思ってました」。長崎出身者として、ロックミュージシャンを志した者として。世の中への違和感を訴え、飛び越える力を曲に託した。


市内ではクスノキに関連した事業が続々と展開された。長崎県美術館では福山の希望で描かれた、画家junaida氏の絵画「KUSUNOKI」の原画を展示。これをモチーフとしたラッピング路面電車「クスノキ号」もこの日から運行が始まった。福山がサプライズ登場したサッカーJ2「V・ファーレン長崎 平和祈念マッチ」の試合前セレモニーでは、サポーターが同曲を合唱した。


NHK「MUSIC GIFT 2025〜あなたに贈ろう 希望の歌〜」で福山は、応募者4万5000人から選ばれた5000人の合唱隊と思いを歌声に乗せた。「8月9日に皆さまと一緒に歌を届けられるのは、僕にとって奇跡ですよ」。心を寄せて末永い平和を祈った。【鎌田良美】


○…「被爆クスノキ」がある長崎市山王神社の禰宜(ねぎ)、舩本貴之氏は「福山さんの影響力は大きい。今年は特に80年の節目なので関心を寄せられています」と、参拝客の増加を実感している。クスノキの生命力の強さに地域の人も勇気をもらってきた。「復興のシンボル的なところはあると思います。被爆体験者がどんどん減っている中で、クスノキはこれからも残る。平和を発信する上でも重大な使命があるのではないか」と話した。

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  • 福山さん、ええ仕事してるわ。
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