GENERATIONS 片寄涼太、中国ブレイクのきっかけは『兄こま』 アジア進出のルートを考察

1

2018年02月23日 22:02  リアルサウンド

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

 GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太が中国のファッション誌『红秀GRAZIA』の表紙を飾った。この号では、片寄のほかにも、アジアで注目の俳優やアーティスト、モデルなど9名と一緒に撮影していて、日本からは森星、秋元梢なども顔をそろえている。片寄が表紙に抜擢されたのは、所属するGENERATIONSでの活躍のほかにも、ドラマ『兄に愛され過ぎて困っています』の人気が関係しているとみられる。


参考:GENERATIONS、5年の歳月で育んだ“絶対的な絆” ドキュメンタリー「THE NEXT」レビュー


 日本のコンテンツがきっかけとなり、俳優が中国で人気を博した事例は過去にもあった。ドラマ『イタズラなKiss〜Love in TOKYO』が2013年に日本での放送開始と同時に中国でも配信されて人気を獲得。同年7月には主演の古川雄輝が上海で日本人初のファンミーティングを行ったほか、彼もまた、中国のエンタメ雑誌『EASY』や『COOK MUSIC』で表紙を飾ったり、現地の一流ファッション誌のグラビアなどにも登場している。


 古川の出演した『イタズラなKiss(イタキス)』は漫画原作で、過去にもドラマ化されている。1996年に初めて柏原崇主演でドラマ化された際は、同作はもちろんほかの出演ドラマも注目を集め、柏原は台湾で人気を博し、彼が率いるロックバンド「No’where」は1999年に台湾のスタジアムでのコンサートを成功させている。今でも中国語圏では根強いファンが存在している。


 その後も『イタキス』は、台湾で2005年、2007年(ともにジョセフ・チェン主演)、2016年(ディノ・リー主演)に、韓国では2010年(キム・ヒョンジュン主演)にドラマ化されていて、そのたびに主人公の入江直樹を演じた俳優は一躍スターとなってきた(すでにスターが出演する場合もあったが)。また日本では、劇団EXILEの佐藤寛太主演となり、三部作で映画化もされた。このようにアジア中で20年以上にわたって人気の衰えないコンテンツである『イタキス』の2013年の配信を見て、中国の視聴者が古川雄輝のファンになる下地は十分にあったのである。


 この『イタキス』はというと、漫画原作で学園もの、主人公の入江直樹がちょっとぶっきらぼうでツンデレだけどイケメンで、ヒロインがひょんなきっかけでその直樹と同居することになるという要素で人気が出た。片寄が出演した『兄に愛されすぎて困ってます(兄こま)』もまた、漫画原作で学園もの、片寄が演じた橘はるかも、ぶっきらぼうなツンデレイケメンで、ヒロインとは血のつながらない兄弟として同居するストーリーなど、『イタキス』同様に人気を得る要素が揃っていたのだ。


 加えて、中国では、顔が小さく背が高い、漫画から抜け出したような人物が人気である。古川の出演した『イタキス』と同時期にドラマ『星から来たあなた』で中国で人気を博した韓国のキム・スヒョンも、古川も片寄も、同じように漫画から抜け出たような容姿もあって人気を獲得していた。


 片寄は2017年8月に中国でのファンミーティングを行っていて、GENERATIONSのメンバーと橘ケンチも登場した。ファンミーティングと言えば、かつては韓流スターや華流スターがするものというイメージも強かったが、現在では古川や片寄に限らず、三代目J Soul Brothersの登坂広臣も上海でファンミーティングを行うなど、昨今は以前よりも積極的に取り組む俳優やアーティストも増えた印象だ。


 GENERATIONSは、ファンミーティングの次の日には「SUMMER SONIC SHANGHAI 2017」にも出演。2017年はマカオや台湾でのライブも経験済みだが、ステージでは積極的に中国語で挨拶をし、MCではメンバーそれぞれが英語で観客とコミュニケーションをとる。2018年には深圳、北京、上海での初のライブツアーも決まっている。また橘ケンチは中国語も堪能で、主演の舞台「幽劇」の公演を2017年9月に上海で行っている。


 これまでは、漫画原作からドラマ化で中国での人気を得るルートがあったが、近年は、2.5次元舞台や、2.5次元舞台に出ている俳優の出る舞台から人気を得るルートも確立しつつある。


 『刀剣乱舞』はゲームが中国でもリリースされていて、2017年12月に「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜真剣乱舞祭2017〜」の広州公演が行われた。このほか、2017年は舞台『あんさんぶるスターズ!』のファンミーティングが広州、北京、上海で行われたほか、2.5次元作品に出演している染谷俊之、財木琢磨、廣瀬智紀、2018年に入り太田基裕などが中国ファンミーティングを行っている。台湾でファンミーティングをした俳優も入れれば、かなりの数になる。


 LDHでは現在、逆2.5次元舞台『錆色のアーマ』にEXILE/FANTASTICSのメンバーである佐藤大樹が主演するなど、さらに舞台に積極的に取り組んでいる印象だ。『情熱大陸』にも出演した2.5次元ミュージカル協会代表理事、ネルケプランニング代表取締役会長の松田誠氏がLDH ASIAの社長に就任したことから、今後はさらに舞台を通してアジアを目指す取り組みが強化されるだろう。


 片寄は今月に入り、中国最大のSNSであるWeiboの公式アカウントも開設。開設時に公開した動画コメントが1900万再生を越えるなど、中国以外のアジアアーティストの人気チャートでは、EXOのセフンらと並び常に上位に名を連ねる。片寄涼太の中国でのブレイクは、今後、日本のエンタテインメント産業がどこまでアジアに進出できるのかを考察する上でも、重要な試金石となりそうだ。(西森路代)


    ランキングエンタメ

    前日のランキングへ

    ニュース設定