“肩もみ”で肩こりが悪化!? 医師が解説する「地獄の肩こりスパイラル」と解消法

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2023年06月17日 08:10  週刊女性PRIME

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※画像はイメージです

 日本では約70%の人が肩こりを抱えているといわれ、これは世界でもトップクラスでまさに肩こり大国。肩に痛みがあったり、腕が上がらなかったり……。

 誰でもこんな経験をしたことがあるはず。そんなとき、肩をもんだり叩いたりしてはいないだろうか。

痛みが悪化する!本当は怖い肩もみ

「自分で肩もみや肩叩きをするのは絶対にNGです。肩もみをしている最中や直後は気持ちよくて軽くなったように感じますが、それは一時的なもの。その感覚を味わうために肩もみを続けていると、肩こりが悪化したり、慢性化したりしてしまうのです」

 そう話すのは、代官山クリニック院長の蘆田英珠先生。

「肩がこっているところに触れると、他の部分とは違う硬い塊がありますよね。その正体は縮んだ筋肉。

 筋肉は本来、伸び縮みを繰り返しているのですが、“長時間の同じ姿勢”“重たいショルダーバッグなどを長期間、使用することによる筋肉への負担”“精神的ストレス”などの理由で一部の筋肉は縮みっぱなしになって、コリとなります。

 筋肉の塊は線維が複雑に絡み合っているので、やみくもにもんだり叩いたりして柔らかくなるものではありません」

 この筋肉の縮みが血行不良をもたらす。

「私たちが身体を動かすとき、筋肉が縮むことでパワーを出し、緩めるときは筋肉が伸びます。本来、この繰り返しによって血行を促していますが、縮んだ状態が続くと血液を押し上げる力が弱くなり、血行が悪くなるのです」

 血行が悪くなることで痛みが出るのだ。

「血行がいいときは乳酸やリン酸といった疲労物質は血液が流し去ってくれますが、血行が悪くなるとどんどんたまってしまって結果的にダルさや痛みが出るのです」

 そこで肩をもんだり叩いたりして、血流をよくしようとするわけだが、なぜそれが危険なのだろうか。

「たしかにもんでいるときは血行がよくなって肩が軽く感じられます。ただしこれは、もんだり叩いたりした刺激で筋線維が切れたり血管が傷ついたことで、それを修復するために一瞬、血行がよくなっているだけなんです。

 つまり、筋線維や血管がケガをしている状態。これを繰り返すとダメージを受けて、より血行が悪くなったり、筋肉がさらに緊張して縮むので、痛みやコリを助長してしまいます」

肩こり改善に効く賢い整体の使い方

 自宅で家族にもんでもらうのも要注意。素人が痛みをとるのは難しいのだ。

「整体院やマッサージ店などのプロに任せるのも手です。身体のことをよく知っているプロであれば肩こりも改善してくれます。

 このとき大切なのは身体のことを深く知っている施術者に頼むこと。というのも、身体の構造を知らないままお店をやっている人もいるんです。いい施術者を見つけましょう」

 いい施術者を見抜くためにはどうすればいいのか。

「痛みのある肩以外の部分をもむ人はきちんと勉強している可能性が高いです。『どうしてそこをもんでいるのですか?』と聞くのもいいでしょう。きちんと勉強した人であれば丁寧に理由を説明してくれます」

 また、上手に整体を利用するコツも教えてくれた。

「私自身、以前、肩こりがひどくて整体に通っていたことがあります。施術中は『痛気持ちいい』という感じで満足していたのですが、翌日になるともみ返しがありました。

 でも、施術者になかなか言えないまま、通い続けていたんです。いくら通っても効果はいまいち。ところが、仕事が忙しくなって整体に通えなくなったら、肩こりが改善したんです。私には力が強すぎるマッサージだったんだと思います。

 施術者と密にコミュニケーションをとることが大切だと思い知り、いまでは必ず身体の状況を伝えるようにしています」

注意!肩こりに潜む怖い病気
 単なる肩こりだと思っていたら、怖い病気が潜んでいることもある。「おかしいな」と思ったら、医師への相談を。
脳動脈瘤
 脳の血管にできたこぶが、周りの神経を圧迫して肩こりに。
心筋梗塞・狭心症
 心臓の自律神経と、首から肩の知覚神経とが近く、心臓と肩の痛みが関連。
肺がん
 がん細胞が、肺から首のつけ根に向かって成長している場合。
うつ病
 ストレスによって緊張が続き、血行不良に。
高血圧
 交感神経が優位になって血管が収縮して血流を悪くする。

医師もやってる肩こり改善法

「ただ、いちばんいいのは整体に頼るところまで肩こりを悪化させないこと。そのためには同じ姿勢が長時間続かないようにすることが大切です」

 先生も実践していることがあるという。

「パソコンに向かったら、30分ごとにタイマーをかけて休憩をとるようにしています。このとき、動かしていなかった筋肉を動かしたり、遠くを見たりしてください。これだけで十分予防できますし、改善にもつながります」

 すでに肩こりがひどくていますぐなんとかしたい人にはストレッチがおすすめ。固まった筋肉はストレッチでほぐすことができるため、効果抜群だ。

 ただし、どうしても痛い、治らない場合は重大な病気が隠れている可能性もあるため、整形外科やペインクリニックなどを受診してほしい。

「原因を探らずに肩もみで痛みをやり過ごしていては、いつまでも悩まされます。しょせん肩こりと軽く考えず、正しく対処して治しましょう」

座ったまま10秒で即攻効く!蘆田先生おすすめ 肩こり撃退ストレッチ

 筋肉をほぐすためにはストレッチがいちばん。すぐに痛みが和らぎ、続けることで肩こりが改善する。つら〜い痛みにぜひ試してみて。

肩まわりストレッチ

 筋肉の柔軟性を取り戻す!

 右手を左耳の上に添え、手の重みを感じながら首を右側に倒す。このとき、耳の後ろから肩にかけての伸びを意識する(3呼吸)。

 左手を右耳の上に添え、首を左側に倒す。耳の後ろから肩にかけての伸びを意識する(3呼吸)。

首まわりストレッチ

 首前の筋肉は重力で縮みがち!

 左右の手のひらを合わせ、頭が後ろに倒れるように両親指であごを押し上げる(3呼吸)。これを3回繰り返す。

教えてくれたのは……蘆田英珠先生●代官山クリニック院長。北里研究所病院美容医学センターで美容を学ぶ。内側からのアンチエイジングの必要性を感じ10年以上分子栄養学を学んだのち、2015年に無添加にこだわったカフェを併設した「代官山クリニック」をオープン。

(取材・文/宇野美貴子 イラスト/伊藤和人)

このニュースに関するつぶやき

  • >高血圧  交感神経が優位になって血管が収縮して血流を悪くする。     これだと思う。@@
    • イイネ!3
    • コメント 2件

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