パトリシア・ハイスミスを手に取る『PERFECT DAYS』役所広司、2つの映画をつなぐ本編映像解禁

0

2023年11月08日 16:31  cinemacafe.net

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

cinemacafe.net

『パトリシア・ハイスミスに恋して』© RolfTietgens_CourtesyKeithDeLellis
『太陽がいっぱい』『キャロル』などを生んだ作家の知られざる素顔に迫る映画『パトリシア・ハイスミスに恋して』。パトリシア・ハイスミスはアルフレッド・ヒッチコックからルネ・クレマン、クロード・シャブロル、アンソニー・ミンゲラ、トッド・ヘインズといった映画監督たちが原作の映画化を切望してきた作家。文章を読んで広がる映像のイメージの魅力もさることながら、時には同時代の社会的モラルについて考えさせる物語がファンを魅了する。

名匠ヴィム・ヴェンダース監督もその1人であり、彼の最新作となる『PERFECT DAYS』と『パトリシア・ハイスミスに恋して』から、両者をつなぐ2つの本編映像が解禁となった。

まず、『パトリシア・ハイスミスに恋して』からは、本編中に引用されるヴィム・ヴェンダース監督による『アメリカの友人』(77)のワンシーンが解禁。『太陽がいっぱい』の原作である「トム・リプリー」シリーズの第3弾として発表された「アメリカの友人」の映画化では、主人公リプリーを『イージー・ライダー』のデニス・ホッパー、額縁職人ヨナタンを『ベルリン・天使の詩』のブルーノ・ガンツが演じている。デニス・ホッパーはテンガロンハットをかぶったリプリーを演じ、その意外性と共に話題となった。

20作品以上の小説のほとんど全てが映画化されているハイスミス原作映画のなかでもファンの多い作品であり、アラン・ドロン主演の『太陽がいっぱい』(60)や、ケイト・ブランシェット主演の『キャロル』(15)を凌いでベストに挙げる評者もいるという。

そして、もう1つは、第36回東京国際映画祭のオープニングで上映された『PERFECT DAYS』のワンシーン。第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞(役所広司)とエキュメニカル審査員賞を受賞し、第96回米国アカデミー賞国際長編部門の日本代表にも選ばれた本作にも、実はパトリシア・ハイスミスの小説が登場している。

解禁された本編映像では、役所さん演じるトイレ清掃員の平山が休日に古書店を訪れ、ハイスミスの短編集「11の物語」を手に取る場面が切り取られている。古書店主の女性が「パトリシア・ハイスミスは不安を描く天才だと思うわ。恐怖と不安が別のものだって彼女から教わったの」と平山に語るシーンも、ハイスミス作品の熱心な読者には味わい深いセリフ。

『PERFECT DAYS』ではまた、平山の日常に「ある思いがけない出来事」が起こると、観客が平山に抱く謎を代弁するかのように、平山の周りの登場人物が彼に様々な問いを投げかける。『パトリシア・ハイスミスに恋して』を通じてハイスミスの人生に触れた後で観ると、ヴェンダースがここでハイスミスの小説を登場させた意図に気づくことができるかもしれない。

『パトリシア・ハイスミスに恋して』は新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。

『PERFECT DAYS』は12月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。







(シネマカフェ編集部)

    ランキングエンタメ

    前日のランキングへ

    ニュース設定