シリコンバッグの寿命は10年? 自分の脂肪を注入する方法も…豊胸手術のメリット・デメリットを医師に聞く

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2024年02月08日 08:10  ORICON NEWS

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豊胸手術のメリット・デメリットを医師に聞く
 整形がコンプレックスを解消する手段としてポジティブに捉えられつつある。なかでも豊胸手術は昔も今も需要の高い美容医療の1ジャンルだ。ところが近年、「メスを使わない豊胸手術」の健康被害が続出。厚生労働省や美容外科学会が警鐘を鳴らすまでとなった。豊胸手術は歴史が長く、技術革新も目覚ましいが、その施術の方法はどのように変化しているのだろうか。たしかな技術でインフルエンサーや芸能人からの指名も多い共立美容外科の木畑智哲さんに、豊胸手術のさまざまな方法や、そのメリット・デメリットをつまびらかに語ってもらった。

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◆シリコンバッグの寿命は10年、健康面に問題がないのであれば除去の必要はない

──豊胸手術は昔から美容医療の代表的存在というイメージがあります。

【木畑智哲さん】 歴史は長いですね。最近の施術例では、80代の方が他の美容外科で40年ほど前に入れたという豊胸バッグが破損しており、中身がドロッと出ていたため除去を行いました。生理食塩水バッグやジェルバッグにはそうしたトラブルが多いのですが、近年はハサミで切っても内容物が出ないシリコンバッグが主流ですので、破損もだいぶ減っています。ただ前述の患者さんに関して言えば、それだけ長いこと問題なく使用されていて、当時としてはそれなりに質の良いバッグを入れられたんだなと思いました。

──一般に豊胸バッグの耐用年数はどれくらいなのでしょうか。

【木畑智哲さん】 シリコンバッグは10年ほどが寿命とされていますが、健康面に問題がないのであれば除去の必要はないと思っています。ただバッグ自体の経年劣化は当然あり、それによって胸に不自然なシワや凸凹が出てしまうこともあります。また60代以降になると皮下脂肪が痩せ、皮膚も薄くなってきて“いかにもバッグを入れている感”が目立ってくるため、個人的にはある程度の年齢の方にはバッグ除去をお勧めしたいですね。除去によって胸が小さくなるのを気にするのであれば、“脂肪豊胸”に置き換えたほうがよりナチュラルで美しく、満足度の高い仕上がりになると思います。

──脂肪豊胸とはどのような施術なのでしょうか?

【木畑智哲さん】 太ももなどから採取した脂肪を胸に注入する方法で、ご自身の脂肪を使うためアレルギー反応がありません。最大のメリットは見た目、触感ともに自然な胸と変わりないこと。ただし痩せ型の方などは、十分にサイズアップできるほどの脂肪を確保できない可能性もあります。また他の豊胸術と比較してもハイレベルな技術が求められますので、施術料が高額になりがちなのがデメリットの1つと言えるかもしれません。

◆近年は自身の脂肪を注入する方法も…豊胸手術は属人的で技術力に左右される

──2019年には「脂肪豊胸と乳がんの相関関係はない」という論文発表がされたそうですが、脂肪豊胸には健康へのリスクはないのでしょうか。

【木畑智哲さん】 稀に定着しなかった脂肪が壊死してシコリを作ることはあります。その場合はゴリゴリした触感になり、血流障害によって脂肪が壊死した物がしこりの原因となります。また、脂肪の定着率を上げるためには、綺麗な脂肪を抽出して不純物を取り除きます。さらに、ビーズを詰め込んでいくように、脂肪を少しずつ丁寧に入れ込んでいくことが重要で、これはドクターの技術次第ですね。なかには脂肪を塊でドカッと入れるようなドクターもいますから、腕の良いドクターに出会うか否かで仕上がりはかなり違います。

──“切らない豊胸”にはヒアルロン酸注入という方法があると聞きます。ヒアルロン酸は化粧水などにも入っているほか、シワ取りを始めとする美容医療でも使われる成分で安全なイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。

【木畑智哲さん】 お顔に使う量でもしこりができたり感染が起きたりします。化粧水などに入っているヒアルロン酸は分子量が小さいので問題になりませんが、美容医療で扱うものは身体が多少なりとも異物と認識します。

──ヒアルロン酸は自然に体に吸収されると聞きますが、すると胸も萎んでしまうのでしょうか。

【木畑智哲さん】 基本的に美容医療では純度が高く、吸収されにくいヒアルロン酸を使います。ただ中には、ヒアルロン酸を薄めて使っている悪質な美容外科もあるようで、「他の美容外科で2年は保つと言われたのに2ヵ月で萎んでしまった」「仕上がりに満足できなかった」といった相談を受けることは多いです。またヒアルロン酸はあくまでも異物ですから、体が反応してヒアルロン酸の周りに被膜を形成することもあります。

──その被膜は体に悪さはしないのですか?

【木畑智哲さん】 被膜自体は問題ありませんが、触感は悪くなります。ちなみに鼻や涙袋に入れたヒアルロン酸の周りにも被膜が形成されることはあります。ヒアルロン酸を除去する注射もありますが、被膜ができてしまうと完全に取り除くことはできません。ヒアルロン酸を注入する場所によっては、大胸筋がムキッと大きくなったように仕上がりがちで、個人的にはあまり好みじゃないな、というところですね。

◆大きいから“美乳”ではない、Aカップでも乳房の輪郭に丸みがあると美しく見える

──これまでのお話を総合すると、先生は脂肪豊胸を最もお勧めしているようです。

【木畑智哲さん】 いずれの方法も臨床的に安全性が証明されていますので、目的や予算に応じて選択していただくのがベストだと思います。健康被害が多数報告されているジェル状充填材(アクアフィリング、アクアリフトなど)は絶対に避けてください。その上で脂肪豊胸を最もお勧めするのは、美容外科として最も理想とする“美乳”を実現できる方法だからです。

──一般的に理想とされる“美乳”とはどういうものですか?

【木畑智哲さん】 仮にAカップでも乳房の輪郭に丸みがあると美しく見えると思います。加えて乳輪や乳頭の位置を中央に持ってくると、見た目に高さとハリが生まれます。ただこれはあくまで僕の美意識であって、患者さんは違うかもしれません。個人的には日本人女性の場合、250cc程度アップすると最も美しく仕上がると思うのですが、なかには1000ccアップを希望される方もいます。この量になるとさすがに脂肪では賄えないため、豊胸バッグという選択になります。

──カウンセリングではどのようなことに配慮されていますか?

【木畑智哲さん】 患者さんのコンプレックスに触れることかもしれませんので、来院の背景は伺いません。ご希望を伺い、選択肢を提示することに徹します。また緊張で希望が伝えきれなかったということがないように、フランクな雰囲気も大切にしています。ご自身の大切な体を預けていただくわけですから、決して後悔のないよういくらでも話は聞きますし、ワガママでもなんでもぶつけてください、という心構えでいます。

(文/児玉澄子)

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