つらい花粉症を和らげる秘訣は「対流花粉」対策――石井正則医師が伝える空気清浄機と床掃除の重要性

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2024年02月08日 17:41  ITmedia PC USER

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イベントでゲスト登壇した石井正則医師(地域医療機能推進機構 東京新宿メディカルセンター 耳鼻咽喉科)

 アイロボットジャパンは2月5日、「住環境における花粉対策 メディア向けセミナー」を開催した。これは同社が2023年10月20日に発売した空気清浄機「Klaara p7 Pro」が、花粉症対策に有効であることを紹介するイベントだ。


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 本イベントでは、ゲストとして耳鼻咽喉科の石井正則医師(地域医療機能推進機構 東京新宿メディカルセンター所属)が登壇し、花粉症対策のキモとなる「対流花粉」について解説した。


 在宅ワークが続く昨今、花粉シーズンが本格化する前に、ぜひこのレポートを参考にしてみて対策を検討してみてほしい。


●家の中でも花粉症でつらい? 「対流花粉」をチェックしよう!


 国民病といわれる「花粉症」。正確にいうと、花粉症は植物の花粉に対するアレルギー反応の総称で、特にスギ花粉アレルギーの罹患(りかん)者は多いとされている。


 環境省が公表している「花粉症環境保険マニュアル2022」(PDF形式)によると、国内で花粉症に罹患している人は、2019年時点で42.5%で、10年ごとに10ポイントずつ増加している状況だという。


 花粉症に悩む20代から60代(計1146人)を対象にした調査を行った石井医師は、「(調査対象の)7割以上が自宅での花粉症の症状が屋外と同等、もしくはそれ以上につらいと答えている」と説明する。「53.1%という半数以上の人は『(花粉からの)逃げ場がない』とも感じていることが分かった」という。


 花粉症の弊害は、勉強や仕事に支障をきたすことの他(罹患者の7割以上)、睡眠不足(半数以上)、判断力低下(6割以上)、メンタルの不調(約4割)、服薬によるパフォーマンス低下(約半数)……と、公私を問わず生活にマイナスの影響を与えてしまう。


 石井医師によると、「スギ花粉に悩む人は、ヒノキ花粉、ダニやハウスダスト、ブタクサにもアレルギー症状を示す割合が約70%で、スギ花粉による鼻水、鼻づまり、目のかゆみが最もつらいと感じる人が約70%に達している」といい、「これを独自に“スギ花粉のクアッド70”と呼んでいる」と解説した。


 ある意味でスギに対するアレルギー反応が諸症状の“トリガー”となっているので、そもそも花粉症を発症させないことが望ましい。しかし、従来は小学生(6〜7歳)以上から発症するという定説のあった花粉症も、最近では4〜5歳で発症してしまうケースも見受けられるそうだ。


 調査によると、子どもにおける花粉症の発症率は、両親が花粉症の場合55〜60%、一人親では30〜50%となっており、遺伝的な要素が関係していることは分かっているという。しかし、石井医師は「とはいえ、環境的な要素も見過ごせません」と語る。「大人も子どもも『(花粉を)吸わない、触らない、近づかない』を徹底することが重要」と解説した。


 花粉に触れさせない花粉症対策には、何があるだろうか。石井医師は「『対流花粉』がキーワード」と語る。


 「外では、マスクをするなどして防御していても、家の中は盲点となりがちです。外から持ち込まれた花粉がその重みで床に落ち、人が歩くことで舞い上がる。花粉が床と空間を行ったり来たりと“対流”することで、やがてワタボコリのような塊となります。これが一度の刺激(振動)で大量に舞い上がると、花粉症の人を苦しめることになりますし、家の中にいても花粉に触れる機会を与えてしまうことになります」


 花粉を家に入れないために、まずできることが「花粉を家に入れないこと」だ。「換気のため窓を開ける際は、レースのカーテンを使うと、室内に入る花粉を約75%程度抑制できます。また、布団の外干しはしない、外出先から室内に入る際には花粉を払う、などの対策が有効です」と、今すぐできる対策について説明した。


 では、既に入り込んでしまった花粉への対策は、どのようにすればよいだろうか。


 石井医師は「根本的な対策は花粉の舞っている空気を、空気清浄機を使ってきれいにする、そして床にへばりついた花粉を掃除機で吸って除去すること」とした上で、「どちらか一方に頼るのではなく、空気と床、両方のケアを同時に行うことが重要」と強調した。


 この対策は、花粉の多さにかかわらず徹底した方が良さそうだ。


●「例年並み」でも対策は万全に


 覚えている人も多いかと思うが、2023年は花粉の飛散量が“記録的”なほど多い年だった。特に同年3月1日は、東京都内で1日に1cm2当たり1000個以上という記録的な飛散ぶりだった。


 花粉飛散量の多かった年の翌年は減る――そう言われてはいるが、石井医師は「『例年』というのは、最近10年間の平均のこと。よって、(ここ数年で)『例年』のレベルが上がってきているので、『(花粉飛散は)例年並み』と報道されたとしても、対策を万全にすることが求められる」と力説する。


 花粉の飛散量が多かった2023年のシーズンは、苦しんだ患者の約6割が「自宅での花粉症対策を強化したい」と回答したという。“万全な対策”の必要性に気づいている人は多いようだ。そのうちの53.4%が「高性能な空気清浄機への買い替え」を検討しているといい、今よりも良い空気清浄機への関心が高まっている様子も伺える。


 石井医師は「花粉症対策として空気清浄機を選ぶのであれば、0.3μmの粒子を99.97%以上除去する『HEPAフィルター』を採用しているものであること、パワフルであること、汚れた空気を外に漏らさない密閉構造であることに注目してもらいたい」とする。その他、使い方については「夏と冬はエアコンの空気の流れを意識した位置に置くことと、24時間稼働させること」も重要だと説明した。


 床にへばりついた花粉を取るには、掃除機がけが望ましい。しかし「その動作で舞い上がった花粉が人間に付着し、対流花粉となってしまう」ことが悩ましい。そこで石井医師は「ここで活用したいのがロボット掃除機です。人がいない間に掃除機をかければ、対流花粉を効率的に除去できます」と述べ、花粉の飛散量が多かったとしても、対策によっては自宅での症状を和らげられることを教えてくれた。


 今回の説明会は、Klaara p7 Proの説明が主役なはずだ。本機にはどのような特徴があるのだろうか。


●Klaara p7 Proは価格相応の“モンスタースペック”に注目


 Klaara p7 Pro(以下「クラーラ」)の価格は16万9800円(税込み、以下同)だ。空気清浄機としては高価な部類に入る。しかも、iRobot(アイロボット)ブランドとしては“初めて”の製品だ。


 イベントの進行役を務めたアイロボットジャパンの村田佳代氏(シニアコミュニケーションズマネージャー)も、「(クラーラの)第一印象は『高い!』かもしれません」と認める。「加湿機能も除湿機能もない、空気清浄機能に特化した製品なのに『なぜこの価格なの?』と疑問を持つ人もいることでしょう」とした上で、この値付けの理由を同社の渡邉峻氏(シニアセールストレーナー)に尋ねた。


 渡邉氏によると、クラーラは「価格に見合ったモンスタースペックを持っている」という。どういうことなのだろうか。


 継ぎ目の多い空気清浄機では、吸い込んだ汚れた空気をそのまま外部に漏らしてしまうことがある。しかし、クラーラは汚れた空気を逃さない独自の密閉構造を持っている。その1つが、外観でもわかる継ぎ目のない一体型ボディーだ。これはコストの掛かる金型を使って整形されている。 2つ目が内部構造だ。吸い込んだ汚れた空気が必ずフィルターを通過するような密閉構造を採用している。フィルターは「プレフィルター」「カーボンフィルター」「HEPAフィルター」ーの3層構造で一体型。カセットのように脱着できるため、手間がかからないのもポイントとなる(渡邉氏)


 作る時点で、それなりに多くのコストが掛かっているのだ。


 3層構造の一体型フィルターは、別の意味で“モンスター級”だ。何と重さが約4.6kgもあるのだ。


 重たいことには理由がある。3層のうちカーボンフィルターに封入されている活性炭の量が、他社の一般的なカーボンフィルターの約3倍も入っているという。それは重たくなるはずである。


 加えて、クラーラーにはロボット掃除機ルンバと同じ「iRobotOS」が搭載されている。これにより、自社のロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」と連携したり、音声アシスタント(Google アシスタント/Amazon Alexa/Siri)に対応したりしている。


 もちろん、「iRobotアプリ」で稼働スケジュール設定をしたり、状況を確認したりすることも可能だ。


 本体背面のセンサーは、毎秒10回のセンシングを行い、0.1μmの粒子を検出する。自動モードにしておけば、部屋の空気の汚れ度合いに応じて、風量を自動調節してくれる。


 会場内では、その様子をデモを交えて説明してくれた。まず、山田剛執行役員が制汗スプレーをセンサーの前で数秒噴射すると、アプリで「室内AQI(Air Quality Index:空気質の汚染度を示す指標)」がぐんぐん上がり「危険」なレベルに達した。


 と同時に、クラーラのファンがフル回転し、空気の浄化を開始。1分10秒ほどで元の値まで戻した。


 次に、別室からルンバを呼んできて、クラーラのあるリビングを模した部屋の掃除機がけを行うデモが行われた。


 ルンバがリビングで掃除を始めると、舞い上がったであろうホコリを含んだ空気を浄化すべく、クラーラのファンの回転数が上がった。もし花粉が床に落ちている環境だったら、対流花粉をより効率的に除去できるだろう。


クラーラを買いやすくする取り組みも


 解説やデモを通じて、クラーラが花粉対策に有効なことがよく分かった。とはいえ、16万9800円という価格は、空気清浄機としては“高い”ことには変わりない。そうやすやすと手は出せない。


 当然、アイロボットジャパンとしても、その不安は把握している。そこで、購入して満足できなかった場合、発送から30日以内に連絡すれば返品と全額返金を受け付ける「花粉保証サービス」を実施している。期間は2月1日から3月31日までとなる。


 クラーラ単体の他、「ルンバ コンボ j9」または「ルンバ コンボ j9+ SD」とのセット製品も対象となる。


 この他、クラーラは同社の有料サブスクリプションサービス「ロボットスマートプラン+」で利用することもできる。月額利用料は6280円で、最低利用期間は6カ月間となる。3年間継続して契約すると、利用権はユーザーに移行する。


 「一気にお金を払うのは難しい」という人は、サブスクリプションでの導入も検討したい。


 花粉症の症状が深刻な人、そのためにパフォーマンスを発揮できず気持ちまで落ち込んでいるという人であれば、試してみるのがいいかもしれない。


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