合わない人が使うと危険!? ダイエットに人気の「防風通聖散」のリスク【漢方薬剤師が解説】

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2024年03月11日 20:51  All About

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ダイエットやデトックスに有効な漢方薬として知られる「防風通聖散」(ぼうふうつうしょうさん)。しかし、防風通聖散が合わない人も少なくありません。合わない人と服用のリスクをわかりやすく解説します。

Q. 防風通聖散が合わない人が服用するのは危険ですか?

Q. 「ダイエット目的で、防風通聖散という漢方薬を飲んでみたいと思っています。防風通聖散が合わない人もいると聞いたのですが、どんな人が該当しますか? 知らずに飲むのは危険でしょうか?」

A. 体質を正しく見極めましょう。冷えや疲労感がある人にもオススメできません

防風通聖散は18種類の生薬から構成されている漢方薬です。防風通聖散は代謝を向上させるので「ダイエット効果がある」「デトックス効果がある」と考えられて、よく知られるようになりました。

「代謝の向上」とは、具体的には、発汗を促したり、便通や尿の出を促進させることを指します。一方で代謝を向上させる分、体力を消耗もするので服用には注意を要する漢方薬でもあります。

実は、防風通聖散には体力を補うような生薬がほとんど入っていません。「身体に溜まった悪いモノをガンガン追い出すことを得意とする漢方薬」と考えましょう。

多くの漢方薬は、体力を底上げするプラスのベクトルの作用と、血や水分の停滞などを除去するマイナスのベクトルの作用が、バランスよく組み合わされているのですが、防風通聖散は、ほぼマイナスに特化した漢方薬なのです。

そのため、以下ような人には防風通聖散は合いません。

・肥満症ではない
・体力に自信がない
・疲労感を感じやすい
・便秘薬を使うと、腹痛を起こしやすい
・頻尿や夜間尿がある
・動悸が出るような病気はない
・睡眠の悩みがある

個人的には現代の日本人、特に、疲労感があり冷えやすい体質で、ダイエットをしたいと考える人が多い若年〜中年の女性には、やや合いにくい漢方薬だと感じます。

体質に合わない方が服用した場合も、一時的な便通改善やむくみ解消効果によって体重が減る可能性はありますが、副作用の恐れがあります。やや頻度の高い副作用としては、下痢、発汗、動悸、発疹、吐き気などが挙げられます。

これらの副作用は効果・効能の裏返しの側面と言えます。防風通聖散は便通促進・発汗・利尿作用を持っているので、合わない人が服用すると、このような副作用の形で効果が現れてしまうのです。

また、そもそもただ服用するだけでやせることは、残念ながら期待できません。防風通聖散がご自身の体質に合っているか自信がない方は、漢方薬局などに相談してから服用を検討するのが良いでしょう。

吉田 健吾プロフィール

大正8年創業の漢方専門薬局を経営する管理薬剤師。城西大学薬学部卒業後に薬剤師免許を取得し、早稲田大学人間科学部医療人類学教室で医療と文化の関係性を学ぶ。一般社団法人・女性とこどもの漢方学術院理事長。漢方薬はもちろん、医療用医薬品、一般用医薬品(OTC薬)の解説から、医療制度や賢い医療機関へのかかり方まで、多くの人の健康に役立つ幅広い情報発信を行っている。
(文:吉田 健吾(薬剤師))

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