「悔しい」を繰り返す大嶋和也。ピットミスで優勝を逃したENEOS、福住仁嶺「俺はよくドライブスルーを経験するなあ」

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2024年06月02日 22:30  AUTOSPORT web

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2位まで順位を取り戻したENEOS X PRIME GR Supraだったが、表彰台での福住(左)に笑顔はなかった。
 スーパーGT第3戦鈴鹿決勝レース、37号車Deloitte TOM’S GR Supraと14号車ENEOS X PRIME GR Supraのトップ争いで、14号車ENEOSが最後のピットストップのタイミングで逆転したかに見えたが、そのピット作業で痛恨のペナルティ。ドライブスルーペナルティを受けて、優勝を逃してしまった。レース直後の14号車ENEOSの大嶋和也、福住仁嶺がメディアのカコミ会見で答えた。

 レース中盤の第2スティント、トップの37号車Deloitteの笹原右京を追う、14号車ENEOSの大嶋和也。ペースは明らかに大嶋の方が早そうだが、笹原はうまくブロックラインで大嶋を押さえながら周回を重ねていた。そして先に37号車の笹原が動いで60周目にピットイン。

 前が空いた14号車大嶋は、そこから猛プッシュ。59周目の1分54秒468から、60周目には1分52秒324と1周2秒以上速いラップタイム&インラップで周回し、37号車から2周後の62周目にピットインして、見事にオーバーカットを決めた、かに見えた。

 しかし、大嶋から福住にドライバー交代して動き出した際、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTがちょうどピットインでファストレーンを走行していたところで、2台は一瞬、接触しそうになり、100号車STANLEYがステアリングを切って回避。接触はなかったが、結果的にこれが14号車にアンセーフリリースのペナルティとなり、ドライブスルーペナルティが課された。

「ホント、メチャクチャクルマが決まっていたし、タイヤ選択もバッチリだったし、長年レースをやってきて、こんなにレースでクルマとタイヤが決まることはないので、今回落としたのは正直、悔しいです」と話すのは14号車の大嶋。

「まさか37号車が先に動いてくれるとは思わなかったので『ラッキーじゃん!』って。1秒以内に詰まっていたので、ここしかないと思ってプッシュしました。絶対に前に出る自信があったので」

 ピット前のインラップでは大嶋はデグナーでリヤを滑らせながらもクルマをプッシュ。見事にオーバーカットを決めたが、乗り替わったてガレージ内でモニターを見つめている中で、ペナルティを知った。その時、大嶋の目には涙のようなものが見えた。

「それはやっぱり、感情的になりますよ。そもそもレース中は興奮状態ですし。今年はいろいろ自分のミスもあったので、なんとかここで流れを変えたいなと思っていた部分があったので、悔しいです」

 大嶋は52周めのFCY(フルコース・イエロー)の際に、タイヤをロックさせていたが、その影響は大丈夫だったのだろうか。

「FCYが出た時、FCYボードもイエローフラッグも全然見えていたけど、前のクルマ(37号車)がカウントダウンの途中でフル減速したので、こちらもどうにもならなくて。さすがにブレーキングが早すぎると。タイヤもメチャクチャロックしてしまって、フラットスポットができたけど、それでもついて行けるくらい、クルマに余裕がありました」と大嶋。

「それでもシケインとスプーン、ここでのトラクションだけが相手にちょっとだけ足りなくて、他のコーナーで詰められるのですけど、ちょっとだけ速い場所が変えられれば抜けたと思うので、そこで抜けていければいろいろ展開が変わったので、僕としても悔しいところが残ってしまいました。本当、なかなかうまくいかないですね」

 一方、ステアリングを握っていた福住仁嶺も、ドライブスルーペナルティで4番手まで順位を下げながら2位まで盛り返したが、表彰台では笑顔はなく、レース後のメディアの取材でも絞り出すような声でレースを振り返った。

「もったいない。最終的にドライブスルーをしてからも2位まで戻って来れること自体、普通のレースならあり得ないことだと思うのですけど、それくらいクルマのポテンシャルはありましたし、チームのみんなも頑張っていいクルマに仕上げてくれたのですけど、あと一歩、足りなかった感じですね。こういう速いクルマがあるのにも関わらず、噛み合わないレースが続いてしまっているのは、僕、そしてチーム全体含めて、何かしら欠けているものがあるのと思うので、ちょっと、いろいろ次のレースに向けててミーティングをしながら改善していきたいですね」と、福住。さらに、細かく聞いていく。

 そもそも、ピットアウトの際には100号車STANLEYの存在はドライバーには見えたのだろうか?

「何も見えていませんでした。チームのメカニックの動きを見て行く感じなのですけど、こればっかりは誰が悪いとかではなくて、チーム全体の責任だと思います」

 ファストレーンで100号車と接触しそうになって、ペナルティのことは頭に過ったか?

「はい」

 ドライブスルーを受けてから、どんな気持ちで走行していたのだろう。

「フラストレーションというか、俺はよくドライブスルーを経験するなあと(苦笑)。昔から、そういうクセみたいのがあるのですけど、今までいろいろ経験してきたことで、ドライブスルーをした後も37号車とのギャップをずっと聴いていて、クルマの状況はすごく良かったので、少しでも追いつきたいなあという気持ちで、とにかくフルプッシュしようと思っていました」

 2番手まで順位を取り戻したが、そこからトップまではなかなかギャップは縮まらなかった。

「タイヤの美味しいところを使ってしまった。もちろんトップしか目指していなかったですし、レースが終わってからも37号車に何かタイム加算のペナルティがあるかもしれないし、自分たちが前に行けるようにということだけを考えて最後までアタックしました」

 勝てるパッケージ、そしてチャンスがありながらも、優勝を逃してしまった14号車ENEOS X PRIME GR Supra。チーム、そして大嶋和也、福住仁嶺のふたりのドライバーが受けた心の傷は、想像以上に大きいようだ。

トップを走る14号車ENEOS X PRIME GR Supraアンセーフリリースでドライブスルーペナルティー...胸が痛い😭😭😭#SUPERGT2024第3戦 #鈴鹿サーキット徹底LIVE配信📡🔽ご視聴/ご購入は🔽https://t.co/ij6Aj4fco8#SUPERGT #SUPERGT30TH #jspoms #SUZUKA3Hours pic.twitter.com/E6ENgnnIzy— J SPORTS❤️モータースポーツ🏁 (@jsports_motor) June 2, 2024

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