レッドブル&HRC密着:早めのピットインが奏功。ペレスのデータをもとにハードを選択したフェルスタッペンが2位を掴む

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2024年07月08日 15:20  AUTOSPORT web

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2024年F1第12戦イギリスGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
 2024年F1第12戦イギリスGPの決勝レーススタート前、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のレースエンジニアを務めるジャンピエロ・ランビアーゼがガレージを出て、ピットウォールへ向かった。そこにいたのは、レースストラテジストのハンナ・シュミットだった。ふたりはモニターを見つめながら、話し合っていた。そのモニターに映っていたのは、雨雲レーダーだった。

 その雨は、この日のレッドブルとフェルスタッペンにとって、恵みの雨となった。

 スタート直後の4コーナーでランド・ノリス(マクラーレン)をかわして3番手に浮上したフェルスタッペン。しかし、その後、ノリスとオスカー・ピアストリのマクラーレン勢に抜かれ、フェラーリのカルロス・サインツからもプレッシャーをかけられる苦しい展開となった。

「タイヤがオーバーヒートして、グリップ不足に苦しんでいた。ランドに抜かれ、オスカーに抜かれたあたりから、雨が降り始めた。でもグリップは戻ってこなかった。リスクを冒せるような状態じゃないと悟ったから、『今日はとにかく生き延びることにしよう』って頭を切り替えた」

 雨は降り始めたものの、強くならなかったため、多くのドライバーがピットインをためらっていた。そんななか、20周を過ぎたあたりから、雨脚が強くなっていく。26周目に上位勢で最初にピットインしたのがフェルスタッペンだった。

「GP(ランビアーゼの愛称)とは、常に話し合っているんだ。レーダーを使ってね。雨のときは路面コンディションはドライバーしかわからないから、最終的には自分で決める。今回も『インター(ミディエイト)に履き替えるから入る』とピットに無線で伝えた」

 この早めのピットインが功を奏して、フェルスタッペンは5番手から3番手へとポジションを上げることに成功した。

 その後、雨雲は去り、シルバーストン上空に青空が広がったタイミングで、今度はインターミディエイトからドライタイヤへと再びタイヤを交換した。このとき、フェルスタッペンが選択したタイヤが、ポイントとなった。トップに立っていたノリスと2番手を走行していたルイス・ハミルトン(メルセデス)が履いたのがソフトだったのに対して、フェルスタッペンが選択したのはハードだった。

 その理由をクリスチャン・ホーナー代表はこう説明した。

「ソフトタイヤを履いていたドライバーたちが、レース終盤ペースが落ちたのは、フロントがあっという間にダメになったからだと思う。我々は金曜日にそれを確認しているからね。その点、ハードタイヤは長く持っていたから、我々のクルマに合っていると感じていた。さらにピットレーンスタートしていたチェコから、レース序盤に情報が入っていて、かなりいいパフォーマンスだったから、迷いはなかった。我々にとって不可解だったのは、マクラーレンだけが新品のミディアムを持っていたのに、それを使わなかったこと。あのコンディションでは理想的なタイヤだったはず」

 ソフトタイヤに苦しんだノリスを48周目にオーバーテイクしたフェルスタッペンは、2位でチェッカーフラッグを受けた後、こう語った。

「序盤でフェラーリに追いつかれたときは、最悪の日曜日の午後だとあきらめ、5位か6位でフィニッシュするつもりだった。でも、その後、スリックタイヤからインターミディエイトタイヤへ、そしてインターミディエイトタイヤからスリックタイヤへ。最後には、ソフトタイヤではなくハードタイヤで走るようにチームから指示があったことは、僕にとって大きな助けになった。だから今日は2位でフィニッシュできたことを素直に喜びたい。望みうる最高の結果だった」
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