ついに海外へ…松木玖生は華々しいキャリアを切り拓けるか

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2024年07月16日 18:23  サッカーキング

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13日の試合後、サポーターから送り出された松木 [写真]=兼子愼一郎
 7月3日のパリオリンピック2024代表メンバー発表会見で、日本サッカー協会の山本昌邦ナショナルチームダイレクターが「海外移籍の可能性がある」と発言したことで、動向が注目されていたFC東京MF松木玖生。

 その彼が7月13日のアルビレックス新潟戦後、海外移籍のためにチームを離脱することが決定し、新天地はまだ明らかにされていないが、サウサンプトン完全移籍後、トルコ1部のギョズテペにレンタルされる可能性を報じられている。

「トルコは非常にサッカー熱が高く、親日国ということで日本人は温かく迎えられると思います。ガラタサライとかフェネルバフチェなど4〜5チーム、強いチームがあって、いい選手もいる。彼らのアウェーの熱狂的な、日本では感じられない熱を感じながら、もう一つステップアップできるかなと。彼なら”黄金の道”に進むんじゃないかなと思います」

 トルコで2年半プレーした先輩の長友佑都も太鼓判を押したが、イングランド労働ビザをすぐに取得できない松木にとっては、最初のステップが肝心だ。

 ギョズテペは昨シーズン、トルコ2部で2位となり、再昇格を果たしたクラブ。近年はエレベータークラブ的な印象が強い。本拠地がイスタンブールではなくイズミールということで、もし加入が決まった場合、長友が得られたほどの恵まれた環境ではないかもしれない。

 それでも、故郷の室蘭や中学、高校を過ごした青森山田で過酷な冬を乗り切り、コロナ禍でもめげることなく結果を残し続けてきた松木には類稀なタフさと強靭なメンタリティがある。そこをより磨き、さらなる成長を遂げるためには、他の日本人選手がいない未知なる地はかえってプラスなのかもしれない。

「FC東京に在籍した偉大な選手になれるように頑張りたいと思います」

 新潟戦の61分から最後のキャプテンマークをつけてピッチに立ち、2−0の勝利に貢献した松木は試合後、ゴール前の大サポーターに向かってこう語りかけた。

 海外へ羽ばたいた偉大な先輩と言えば、長友、久保建英が思い浮かぶが、ヨーロッパ5大リーグで主力として戦い抜き、UEFAチャンピオンズリーグにも参戦した面々を超えていくというハードルは非常に高い。

「まだ海外のチームでやっていないので、自分の力がどこまで通用するかはわからないですけど、スプリントや決定力も求められてくるとは思うので、貪欲にやっていけたらいい」と、本人もいち早く新天地に思いを馳せていた。

「(FC東京での2年半で)落ち着き具合や、ゲームをコントロールできる力は徐々についてきたかなと。キャプテンをやったことも大きかったです。いい時も悪い時もチームをまとめるのはすごく難しかったけど、いろいろな先輩からのサポートがありながら、ここまでやってこれました。特に森重(真人)さんと(小泉)慶くんには本当に感謝しています」と松木は2年半のJリーグ経験も糧にしながら、新たな挑戦に打って出るつもりだ。

 異国に行けばどういう扱いを受けるかわからないし、常にリスクをはらんでいる。長友にしても、インテルから移籍した当初は絶対的左サイドバックとして君臨していたが、最後の半年間は構想外と位置づけられ、ベンチにも入れない日々を強いられた。

 彼ほどの高度な経験値がある選手でも急転直下の展開を強いられたのだから、若い松木はどんな状況に直面するか想像もつかない。この先、監督が代わることがあれば立場も一気に変わるだろうし、使われるポジションも未知数だ。

 日本ではボランチをベースにトップ下、FWと攻撃的な役割を担うことが多かったが、新天地では主戦場がどこになるのか。そういう中でも持ち前の強気の姿勢を忘れず、真摯に向き合い続けていけば、必ず成功ロードを切り拓けるはず。そう長友も太鼓判を押していた。

「自分ももう若いって見られない歳になってきたので、この場でチャンスをもらえたからには、しっかりと掴んでいきたいですね。これから本当に自分との戦い。『FC東京(出身者で)で一番活躍した選手』と言われるような活躍をしたいです」と彼は目を輝かせた。

 パリオリンピック不参加という決定は重いはずだが、新たな環境にプレシーズンから合流し、サッカースタイルや戦術に適応できるメリットは大きい。オリンピックに出られない以上、目指すところはA代表しかない。

 森保ジャパンの中盤を見ると、遠藤航を筆頭に、守田英正、鎌田大地、久保とタレントがひしめいている。松木より一足先にヨーロッパ5大リーグ挑戦を果たした佐野海舟のような人材もいる。ハイレベルな競争に参戦していくるためにも、まずは最初のクラブで強烈なインパクトを残し、1年で最高峰リーグになり上がることが肝要だ。

「どのチームに行ってもやることは変わらない。個人としてはしっかりとポジションを奪って試合に出場して結果を出すだけ。そこはこだわっていきたいと思います」

 常に堂々たる振舞いのできる松木。ヨーロッパ新シーズンの開幕戦から華々しいスタートを切る姿を多くの人々が待ちわびている。

取材・文=元川悦子

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