実は“薄氷の勝利”だったDAISHIN GT-R。スーパー耐久第4戦もてぎで後半戦に繋げる優勝に

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2024年09月07日 21:30  AUTOSPORT web

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2024スーパー耐久第4戦もてぎ ST-Xクラスを制したDAISHIN GT-R GT3の今田信宏/藤波清斗/坂口夏月組
 9月7日、栃木県のモビリティリゾートもてぎでENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE第4戦『もてぎスーパー耐久』の決勝レースが行われ、ST-Xクラスは今田信宏/藤波清斗/坂口夏月組DAISHIN GT-R GT3が、DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組TKRI松永建設AMG GT3とのマッチレースを制し嬉しい今季初勝利を飾った。ただ、実は今回の勝利はある意味で薄氷の勝利だったという。

 今季スーパー耐久シリーズにニッサンGT-RニスモGT3で臨んでいるDAISHIN GT-R GT3は、渡会太一を加えて戦った第3戦オートポリスでシーズン初めてのポールポジションを獲得するも、決勝ではピットイン時にスターターがうまく作動しないトラブルに見舞われ、押しがけによるエンジン始動を行ったとして1周減算のペナルティが課され、4位でレースを終えていた。

 迎えた第4戦もてぎも、Aドライバーを務める今田が素晴らしい速さをみせ、藤波のタイムとの合算で2戦連続のポールポジションを獲得する。レースでも、スタートドライバーを藤波が務め、後続を大きく引き離していった。

 DAISHIN GT-R GT3は藤波から今田に交代し、その後坂口にバトンを繋ぐが、一方でDAISUKEがスタートドライバーを務め、元嶋から中山に交代したTKRI松永建設AMG GT3がその差を縮め、トップを奪った。実はDAISHIN GT-R GT3には、坂口への交代時に思わぬトラブルが起きていたという。

 ピットインしたDAISHIN GT-R GT3に坂口が乗り込んだ際、メインの電源がすべて消えてしまっていたのだという。坂口がダッシュボードを叩いたところ、電源が戻りピットアウトすることができた。

 TKRIはその後、フルコースイエローでの速度違反のペナルティが課されたこともあり、DAISHINがふたたびトップに浮上。坂口から最終スティントを担当する藤波に交代するが、ここでドアを開けた瞬間、やはり電源がすべて消えてしまっていた。S耐TVの映像でも、藤波が手で×印を示していたが、電源がついていないことのアピールだった。

 とりあえず藤波はコクピットに乗り込み、ふたたびダッシュボードを叩いたり、スイッチのオンオフを続けたところ、電源がつき無事にピットアウト。後方からはフロアにダメージを抱えながらも、元嶋が追い上げていたTKRIが接近していたが、「前に出られなければ抜かれないと思っていました」という藤波が逃げ切り。TKRIが最後に完走に切り替えたこともあり、DAISHINが今季初勝利を飾ることになった。

 電源がつかないトラブルに「『終わった』と思いましたよ。シートベルトどころじゃなくて、メチャクチャ叩きました。ピットアウトしたときがいちばんピットが沸いていたらしいです(苦笑)」と藤波は振り返った。

 薄氷の勝利となったが、1勝は1勝だ。「オートポリスのこともあったので『またか』と思いましたが、勝つことができて良かったです。今田さんの速さのおかげでもありますね。次の鈴鹿もAドライバーの差がつきやすいと思いますし、いけると思います」と長年チームを牽引し続ける藤波は語った。しっかりと速さをシーズン初優勝という結果に結びつけたDAISHINが、後半戦のST-Xをさらに盛り上げてくれるかもしれない。

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