絶滅が危惧されているニホンウナギの稚魚は、他の魚に食べられても、胃の中から消化管を通ってエラの隙間から脱出できることを、長崎大などの研究チームが明らかにした。論文は10日、米科学誌カレント・バイオロジーに掲載された。
長崎大の河端雄毅准教授と長谷川悠波助教らはこれまでの研究で、淡水魚のドンコに丸のみされたウナギの稚魚が、ドンコのエラの隙間から逃げ出せることを発見。捕食者の体内から自力で脱出する行動は珍しく、魚類では他に報告がないといい、どのように逃げ出しているのかをさらに調べた。
河端准教授らは、稚魚(体長平均約7センチ)に硫酸バリウムを注入。水槽内でドンコ(同約15センチ)に捕食させ、X線カメラでその後の行動を観察した。
捕食された32匹のうち、最終的に9匹がエラの隙間から脱出に成功。体内での行動を調べたところ、一部は口から消化管を通って、胃の中まで完全に入っていた。しかし、胃の中で体をぐるぐると回転させ、消化管に尾部を差し込んで胃から出ると、その後エラの隙間を通じて外に脱出することが分かった。