トヨタ自動車の超人気大型ミニバン「ヴェルファイア」は、平均的な収入の会社員でも購入できるのだろうかーー。ネット上で、こんな話題が注目を浴びている。お金の専門家が、年収500万円の家庭をモデルケースとして、ヴェルファイアを購入した場合の家計を紹介している。だが、その計算に対し、ネット上では異論が噴出している。
「物静かな」という意味の「Velvet」と、「炎」という意味の「Fire」を組み合わせ、“クールな情熱を持つクルマ”という意味を込めて命名されたヴェルファイア。姉妹車の「アルファード」とともに、ファミリー層から絶大な人気を誇る。ミニバンの中でも大型（LLサイズ）で、値段も高額であることから“キングオブミニバン”とも称される。2023年6月にフルモデルチェンジされると、さらに人気が高まり、生産が追い付かないほど注文が殺到した。
そんななかで認証不正問題が発覚し、ヴェルファイアの生産態勢はより不十分なものになった。アルファードとヴェルファイアは、トヨタ車体いなべ工場と富士松工場の2カ所で生産しており、いなべ工場のみ認証不正の対象車種を同一ラインで生産しているため生産停止となったが、富士松工場は生産を継続したことから、注文は継続。とはいえ、需要に対して供給は完全にショートした状態だ。
現在でも認証に時間がかかっており、発注しても入荷までは何カ月もかかるという。そんなヴェルファイアは、一般的なミニバンよりも2倍以上の高額な価格がついている。それでも生産が追い付かないほどの人気となっていることから、「平均的な収入では買えないはずなのに、みんななぜ買えるのか」と疑問の声が多くあがっている。
そんな声にこたえるかのように、ウェブニュースでお金の専門家が、「年収500万円でヴェルファイアを買えるか」とのシミュレーションを行っている。ちなみに、ヴェルファイアは特にオプションなどを付けず、ローンなどを組まない場合、ターボガソリン車2WDで655万円、ハイブリッド車2WDで690万円、もっとも高価なハイブリッド車E-Fourというタイプで892万円となっている。年収500万円の場合、明らかに身の丈に合わない買い物という印象を受ける。
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だが、記事をみると、700万円のヴェルファイアを購入するとして、頭金200万円、年利2％、10年ローンで、月々の支払いは約4万6000円と算定。確かに、買えない金額ではないように思える。
さらに、維持費として、ガソリン代に6万円、保険料に7万円、車検費用に5万円（2年ごと10万円を年割）として、税金を合わせた1年あたりの維持費は年間20万円超と算定している。だが、実際のところ、年間5000�劼曚描�るだけでもガソリン代は7〜8万円はかかるし、車検費用も2年に1回で算定しているが、本来は最低でも1年に1回は検査を受けるべきで、年10万円は覚悟すべきだろう。
実際に購入とリースはどっちがトク？
記事の結論は、「年収500万円の家庭がヴェルファイアを購入するとなると、家計に与える影響が大きい」として、「本当に大型車が必要か、家族の人数や使用目的を再確認しましょう」と投げかけている。つまり、“買えないことはないが、無理すると後で苦しくなる”ということを示唆しているといえる。
そんななかで、トヨタが提供しているリースサービス「KINTO」を利用した場合、ヴェルファイアはオトクに乗れるのか、との疑問の声もある。あるファイナンシャルプランナーは、リースの有用性を唱える。
「一般的に、リースは比較的安価に定額でクルマなどの高額資産を利用できる一方、手元に資産が残らないことから、資産形成を考えるうえではあまり推奨されません。
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たとえば、KINTOは定額でトヨタの新車に乗れる、サブスクのカーリースサービスです。自動車税や保険費用、メンテナンス費用、車検費用なども含まれており、維持費を抑えてクルマを利用できるというメリットがあります。アルファードやヴェルファイアのクラスでも、月額5万円ほどで乗れます（7年契約のコース）。
ガソリン代以外の維持費はほとんどかからないため、新車で購入して自分で維持するより、年間の支出は大幅に抑えられますが、契約が満了すると手元にクルマは残らず、手放さなければなりません。ここで、家を購入するのと、賃貸とどちらが得か、という論争と同じことが発生します。
購入した場合、仮にKINTOより年間10万円ほど支出が多かったとしても、10年後に手元にクルマが残っていることで、多少なりとも資産価値があれば、リースより良いといえるかもしれません。ところが、10年間車体価格を分割して払い続け、最終的にほとんど価値がなくなっていた場合、リースなどで乗っていたほうがよかったと思うこともあるのではないでしょうか」
昨今では、ミニバンの需要が高まっていることから中古車市場でヴェルファイアなどは高値が付く傾向にあるので、購入したクルマを長期間乗ったあとでも買い替え時期に高値で下取りに出し、それを頭金とすることができるかもしれない。だが、10年後に中古車相場が暴落していたら、購入価格＋維持費を考慮すると、トータルではリースのほうが支出額が低かった、ということもあり得る。クルマを購入する際には、十分に検討が必要だろう。
（文＝Business Journal編集部）
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