都内で開催中の「第 37回東京国際映画祭」で3日、韓国映画『対外秘』(11月15日公開)のジャパンプレミアとなる上映前に、キャストのチョ・ジヌン、キム・ムヨル、イ・ウォンテ監督が舞台あいさつを行った。ジヌンは日本の観客の前で舞台あいさつをするのが初めてで、「東京国際映画祭で皆さんとお会いすることができて本当にうれしいです」と、ファンの声援に笑顔で応えた。
【画像】イ・ソンミンも出演『対外秘』場面写真 カタカナ表記の名前が入った“たすき”をかけて登場した3人。「映画の中でたくさん選挙運動をしてきたので、“たすき”は慣れています」というジヌンとムヨルに対し、監督は「ちょっと窮屈な感じがします」とぎこちない感じ。
同映画は、国会議員選挙への出馬を決意した男を主人公に、権力を競い合う表社会の政治闘争と、莫大な金をめぐって命まで奪い合う裏社会の死闘が交錯する予測不能のサスペンス。
ジヌンは、初めは「弱者に寄り添い正義を貫く政治家」になろうとしていた善良で人々に愛されていたが、巨大な権力に立ち向かいながらも、やがてその権力を手に入れるために変貌していく主人公ヘウンを演じた。
「私は1本の映画を撮り終えたら、すぐに切り替えるようにしていました。すぐまた次の作品の準備をしなければならいのでそうしていたのですが、『対外秘』は私の心の中に長く残り続けている作品です」と、自身にとって特別な作品になったことを強調。
「人間の内面には善と悪が共存していると思います。その人が置かれている状況によって、善の面が表に出たり、悪の面が出たり、するものです。私が演じたヘウンはそれとはちょっと違って、ゲーテの『ファウスト』のような悪魔と取引したようなキャラクターです。これは誰にでも起こり得ることだと思います。そういう選択をせざるを得ない状況になって、自分の新たな一面を発見するでしょう。この映画を観ることで、少し離れたところから自分を振り返る機会が得られると思います。私は悪い人間ではありませんが、自分自身を見つめ直しながら演じました」と、思い入れたっぷりに語っていた。
ムヨルは、富と権力を渇望するギャングのピルドを演じたが、「撮影前に体重を増やしてほしい、と監督に言われた」と3ヶ月ほどかけて20キロちかく増量し、次の作品が控えていたために1ヶ月で減量したという。今回の来日で久しぶりに再会した監督から、「なんでそんなにやせたの?と聞かれたのですが、私としてはこれが普通です」とにこやかに話した。
さらに、「俳優は作品ごとに新しい顔を見せる必要があると思っています。そのため、常に新しい自分の姿を探し続けています。今回、体重を増やしてルックスが変わったことが役作りに役立ち、とても良い挑戦になりました」と“千の顔を持つ役者”と言われる彼らしいコメントも。
ところが、増量を求めた理由についてウォンテ監督は「どうしてかわからないが、とにかくふやしてほしい」と打ち明け、日本語で「すみません」。ムヨルは慣れないプサンの方言にも挑戦していたことから、監督は「体重を増やさなければならず、プサンの方言も覚えなければならない二重苦でしたね」と再び日本語「すみません」と言いながらムヨルに向かって深々と頭を下げた。ムヨルは思わず日本語で「ヤバい」とリアクションして会場の笑いを誘っていた。