ロボットと本当の意味で友達になることができる日が、いつか来るだろうか。Xに10月上旬に投稿されたオリジナル漫画『白い部屋のイルカ』を読むと、早くそういった未来になってほしいと思ってしまう。
(参考:漫画『白い部屋のイルカ』を読む)
真っ白な部屋で過ごしている少女・イルカ。誰もいない孤独な環境ではあるが、ポン太というロボットが世話係として面倒を見てくれている。おてんばのイルカに振り回されるポン太。そんな日々の中で、いつしか機械が“持ってはいけないモノ”が芽生えていき――。
作者のguppyさん(@utakaruhiroba)は現在一児の父親。パートナーの協力を得ながら仕事と子育ての合間に漫画制作に取り組んでいるという。2人の穀粒が可愛らしい本作をどのように描いたのかなど、話を聞いた。(望月悠木)
■「幸せスパイラル理論」を広めたい
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――今回『白い部屋のイルカ』を制作した理由を教えてください。
guppy:大学卒業後すぐに描いた作品です。長らくネームを寝かせていたのですが、仲間の1人がそれを見て褒めてくれて、それで「仕上げてみよう」と思って完成させました。
――なぜ少女とロボットの物語にしたのですか?
guppy:ネームを切る前、山崎風愛先生の『ドームチルドレン』(スクウェア・エニックス)を読んでおり、生きることや命、人間関係に真正面から向き合う内容に影響を受けました。また、作者は覚えていないのですが、ロボットと女の子のショートアニメを見て、ものすごく感動したことも影響しいます。「地下施設」「地上に出る」というアイデアは、私の好きなRPGゲームシリーズ『ブレスオブファイアV』の影響です。
——イルカとポン太が生活している空間はどのように作り上げましたか?
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guppy:最初に“ロボットと取り残された人間の女の子”というイメージがあり、それを中心に辻褄を合わせていきました。例えば、地上に出ることに何か制限がなくてはならず、また、イルカ以外の人間が倒れていなければいけません。そこで「未知の病原菌」「難を逃れて耐性を得た子ども」という設定にしました。
――2人の掛け合いがとても微笑ましかったです。会話劇で意識したことは?
guppy:ポン太はロボットですが、いわゆる“ロボットが喋っているようなセリフ枠·書体”を使わないようにしました。また、私はキャラクターを深掘りして、イメージできてからセリフを描くのですが、その人物が喋りそうなセリフ、その関係性でしそうな反応を描いたことが良かったのかもしれません。
――ところどころでポン太の目線のカットが入ることにより、ポン太がロボットである事実を再確認させられました。
guppy:「ポン太は人間みたいに喋るけど、やはりロボットなので視界にはモニターや計器や警告が出るんだろうな」と思ってポン太の目線のカットを描きました。細かすぎて伝わらないですが、英語で「感情が制御できない」という警告文が出ています。また、ポン太視点では常にイルカを見ています。
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――今後はどのように漫画制作を進めていきたいですか?
guppy:僕自身が生きる指針にもなっているのですが、とあるゲームのキャラクターが口にした「幸せスパイラル理論」という理論が好きです。ざっくり言うと「人間の間で思いやりを持つこと」や「情けは人のためならず」のような意味なのですが、「それが広く伝わり共感してもらえる世の中になったらいいな」と思っています。自主連載なのですが、そういう思いを全て込めた作品『歌声のカルマ』をKindleで出版したり即売会に出たりしています。
――「幸せスパイラル理論」を広めるために精力的に活動していると。
guppy:はい。また、男の娘が主人公の漫画を現在SNSなどで公開しています。こちらは純粋に読者さんに楽しんでもらえるように意識して描いているので、『歌声のカルマ』と合わせて読んでもらえると嬉しいです。
(望月悠木)
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