首都圏を中心に闇バイトを使った強盗が相次いでいることを受け、警察庁が、捜査員が架空の身分証を使って闇バイトに応募し、犯罪グループに接触する「仮装身分捜査」の導入を検討していることが5日、関係者への取材で分かった。実行役の検挙や事件抑止につなげるのが狙い。
闇バイトでは、SNS上の投稿などに応募した人に対し、運転免許証の写真など個人情報を送信させた上で、脅迫するケースが多い。
関係者によると、仮装身分捜査では、警察官が身分を隠してSNSなどの募集情報に応募。その際、指示役から求められれば、事前に用意した架空の運転免許証などを示すという。
指示された集合場所に他の応募者がいれば、強盗行為が実行される前に検挙することも想定する。捜査員は犯罪への加担や働き掛けはしない方針。
身分証明書を偽造すれば通常、公文書偽造などの罪に問われる。ただ、刑法は「法令または正当な業務による行為は罰しない」と規定しており、警察庁は違法性は阻却されると判断。関係省庁と協議を進めた上で、運用指針などを策定する。