2024年シーズンのF1最終戦/第24戦アブダビGPの予選上位4人の顔ぶれを見てみると、フロントロウがマクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリ、2列目3番手はカルロス・サインツ(フェラーリ)、そして4番手はニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)だった。
ちなみに今から9カ月前、開幕戦バーレーンGP予選での上位4人は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、サインツという顔ぶれだった。
開幕戦と最終戦の予選でともにトップ4に入っているのはサインツだけ。バーレーンGPの予選においてノリスは7番手、ピアストリは8番手、ヒュルケンベルグは10番手に過ぎなかった。4名中3名の顔ぶれが変わったことは、チーム間の勢力図が、開幕から24戦を経る間に激変したその現れとも言えるだろう。
そして今回の予選は、稀に見る超接近戦でもあった。たとえばQ1はトップのルクレールから19番手フランコ・コラピント(ウイリアムズ)までの19台が0.610秒内にひしめいた。そしてQ2では、12番手リアム・ローソン(RB)までが0.5秒以内。最後のQ3が最も差が大きく、ポールシッターのノリスから10番手セルジオ・ペレス(レッドブル)0.669秒差だった(ただし2番手ピアストリからであれば、その差は0.440秒しかない)。
そもそもヤス・マリーナ・サーキットは1周90秒弱のコースにしては、以前からラップタイムの開きは大きくなかった。基本的にストップ・アンド・ゴーのレイアウトで、パワーサーキットでもないからマシン戦闘力の差がつきにくい。さらにシーズン最終戦ということで、チーム間の差も接近しているからなのだろう。
一方でこのサーキットは低速コーナーの連続する最終区間でリヤタイヤがタレやすく、3つの区間タイムをまとめるのはかなり難易度が高い。そこがまさにドライバー個人の腕の見せどころであり、チームメイト同士が往々にして離れてしまうのもここの特徴だ(たとえばQ3での4番手ヒュルケンベルグに対しケビン・マグヌッセンは15番手など)。
そんななかでフロントロウにマクラーレンの2台が並んだ。しかし予選直後のピアストリは、悔しそうな表情を隠さなかった。「2番手は良かった。チームにとってはね」というコメントも、『僕個人は満足してない』という意思の現れなのだろう。
2024年シーズン、ノリスとピアストリの予選対決(SQを除く)は、ノリスが20勝4敗と圧倒している。そしてそれ以上に、ノリスが今季8回もポールポジションを獲ったのに対して、ピアストリは2番手が6回。スプリントを除けばいまだにポールポジション獲得を達成できずにいる。
今回ノリスと並ぶフロントロウを獲得できたピアストリだったが、またもチームメイトの高い壁に跳ね返された。0.209秒というノリスとの差は、ピアストリにとっては、とてつもなく大きいものだったようだ。