北村匠海監督(27)、俳優の萩原利久(25)、藤堂日向(29)、井浦新(50)が8日、都内で行われた映画『世界征服やめた』の公開記念舞台あいさつに登壇した。
【写真】公開舞台あいさつには井浦新、藤堂日向、萩原利久も登壇 初監督作品が封切りの日を迎えた。北村監督は「今こうやって自分が監督という立場で映画に関わらせていただき、『世界征服やめた』が自分の手を離れたんだな、という実感が実はあまりわいてない状態です。正直、役者の時は、実は作品と関わる期間が撮影日数だけだったり、番宣も含むと多少長くはなるのかもしれないけど(撮影から)間が半年空いちゃったりする。監督として企画から。脚本の本当に立ち止まったり、右往左往をしたり…。いろんな道を歩んできて今があるからこそ、実感がわかないのかなっていう感じがしています」と明かす。
監督をやろうと思ったきっかけも。「監督をやろうと思ったのは、僕は小栗旬さんがきっかけでした。小学校6年生の時に『シュアリー・サムデイ』という映画に出させていただいた。この間、小栗さんともご飯食べさせていただいたんですけど、その時もずっと『シュアリー・サムデイ』の話をしてくださったりとか。そこで役者が監督をやるカッコよさを感じた。でも、小学6年生だったので深い理由はつけれないんですよ。ただ姿がカッコよかった。それが自分にとって大きかったです。人生の中で『いつかは』と思ってたのを、今回『世界征服やめた』不可思議/wonderboyがかなえてくれたと思ってます」としみじみ語った。
藤堂はマルチに活躍する北村監督を長く見てきたが「自分が知らない匠海をまた見れたなと現場で思いました」としみじみ。初監督作品ながら「大御所感があった」と井浦が明かすと、藤堂も「初めての監督したと思えなかった」と振り返る。一方、萩原は「毎日働いてると、毎日ヒゲをそるじゃないですか。でも撮影期間は演者じゃなかったので、毎日ちょっとずつヒゲが伸びてくんですよね。ある意味、レアな匠海を見た」とする。北村監督は「俺、3徹だったんで」と苦笑い。この日はもちろんヒゲもツルツルで「やっぱりこのツルツルフォルムの匠海に会うことが多かった」と萩原がこれまでを回想すると北村監督は「デオキシスみたいな」と笑っていた。
独特な言葉のセンスとパフォーマンスで注目を浴びながら、2011年6月23日に不慮の事故でこの世を去ったポエトリーラッパー・不可思議/wonderboyの代表的な楽曲の一つである「世界征服やめた」に強く影響を受けた北村監督が、この楽曲からインスパイアされて脚本を書き下ろし、自らメガフォンをとった短編映画となる。
主人公・彼方(萩原)は、社会の中で生きる内向的な社会人。変化の乏しい日常をやり過ごす中で、「自分なんて誰にも必要とされてないのではないか…」と自分の無力さを感じていた。そしてどこかひょうひょうとして、それでいて白黒をはっきりさせたがる彼方の同僚の星野(藤堂)。星野の選んだ決断に彼方の人生は大きく揺れ動く。「死」の意味を知る時、明日の選択は自分でできることを知る。世界征服という途方もない夢を追いかけるよりも、自分にしか描けない道がきっとある。