限定公開( 12 )
2025年春は、寒暖の変化が大きくなるでしょう。3月下旬から4月にかけて高温傾向となった2024年と比較すると、アイスクリームやスポーツドリンクなどの冷たい物が欲しくなる時期は遅い見込みです。一方、2025年の夏もかなり暑くなる予想で、猛暑と大雨への備えが必要になりそうです。
●アイスクリームなどの夏商材が必要になり始める時期
2025年春は平年と比較すると北日本ほど高温傾向となる予想ですが、西日本を中心に寒気の影響を受けやすく、寒暖の変化が大きくなるでしょう。観測史上3位の暖かさとなった2024年の春と比べると気温の上昇ペースは遅くなりそうです。
日本気象協会の調査によると、最高気温20℃を超えるとアイスクリームが食べたくなる人が多くなり、アイスクリームの需要が高まり始めます。これらの情報をもとに、日本気象協会では「アイスクリーム前線」を作成しました。
このアイスクリーム前線は、アイスクリームの他に、スポーツドリンクや制汗剤などの「夏物商品」が気温の上昇によって売り上げが伸び始める時期を示しています。
3月下旬から4月にかけて高温傾向となった2024年と比較すると、アイスクリームなどの夏物商品が欲しくなる時期は遅い見込みです。ただし、平年と比較すると気温は北日本を中心に高めで推移することが予想され、季節を先取りした陽気の日もあるでしょう。寒暖差が大きいため、暖かい日はより暖かく感じられ、夏物商品が欲しくなる日もありそうです。
●2025年の夏の見通し
現在、ラニーニャ現象発生の定義は満たしていませんが、太平洋熱帯域の海面水温はラニーニャ現象よりの分布となっています。このあともラニーニャ現象よりの影響が残る見通しです。
ラニーニャ現象の影響で、2025年夏も全国的に猛暑が予想されています。
2025年は、2024年と比較して太平洋高気圧の北への張り出しが強く、梅雨前線の北上が早いでしょう。
梅雨入りは、各地で6月下旬となった2024年より早く、梅雨明けも2024年より早いところが多くなりそうです。梅雨明け後は全国的に猛暑となるでしょう。
観測史上1位の高温になった過去2年の夏と比較すると、地球の大気全体の昇温はやや落ち着く予想となっています。そのため、過去2年には及ばないものの、平年よりかなり気温が高く、2025年も猛暑となるでしょう。
また、梅雨前線の活動が活発になる時期がある予想で、2025年も梅雨末期の大雨には警戒が必要です。
さらに、2024年よりもフィリピン付近で積乱雲が発生しやすいため、夏の前半から台風の発生が多くなる可能性があり、台風が接近する時期もありそうです。
2025年の夏も猛暑と大雨への備えが必要でしょう。
秋にかけても厳しい残暑が予想されます。
2024年ほどの顕著な高温にはならない予想ですが、冬ものが必要になってくる時期は2025年もゆっくりでしょう。
|
|
●ラニーニャ現象とは
「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。
ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。
ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、夏季は太平洋高気圧が北に張り出し、気温が高くなる傾向があります。特に、沖縄・奄美では南から湿った気流の影響を受けやすくなり、降水量が多くなりやすいです。
冬季は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向があります。
つまり、ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、夏は猛暑など厳しい暑さの日が増え、反対に冬は寒気が南下して気温が低く大雪になる傾向があります。
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 一般財団法人日本気象協会 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。