日本電気硝子(以下、NEG)の製造する化学強化専用超薄板ガラス「Dinorex UTG」が折りたたみスマートフォン「motorola razr 60」シリーズに採用された。フレキシブルデバイス向けのガラスで、液晶・有機ELテレビなどのディスプレイ用ガラスで培ってきた成形技術を応用している。
Dinorex UTGは、表面が非常に滑らかで、ガラスの厚みが均一だ。また、直径3mm以下、つまり非常に小さな曲率でも折り曲げることができるほどの柔軟性を持っており、繰り返し折りたたんでも壊れにくい高い耐久性を備える。
こうした特性を持つDinorex UTGにより、フレキシブルデバイスの柔らかく曲がるという本来の特性を損なわずに、画像・映像を表示する精度を維持しつつ、傷や衝撃への強さを両立している。
●なぜ曲げても割れにくいのか
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折りたたみスマートフォンの内側にあるインナーディスプレイの開発では、「折りたためるディスプレイ」をどう実現するかが大きな課題となっていた。従来の化学強化専用ガラスは、強度には優れているものの、折り曲げると割れてしまうため、これまでは主に樹脂素材が使われてきた。
ガラスには「薄くすればするほど曲げに強くなる」という特性があるとはいえ、実際に折り曲げられるほど薄く、かつ実用的なガラスを作るには、高度な技術が必要だった。
NEGはガラスの性質に着目し、20年以上前から「超薄板ガラスの研究開発に取り組んできた」と広報noteで振り返っている。市場から求めるのは、一般的なA4コピー用紙(約0.1mm)の半分以下となる、厚さが0.035mm(35マイクロメートル)の製品だという。2020年7月には、さらに薄い0.025mm(25マイクロメートル)のガラスを開発した。
Dinorex UTGのDinorexはNEGが2014年に開発した技術をベースとしており、その名称は「Dinosaur(恐竜)」と「Rex(ラテン語で王)」を組み合わせた造語で、ティラノサウルスのような強さと頑丈さをイメージしたという。
その技術が後にDinorex UTGへと発展し、折りたたみスマートフォンへの実装へと至ったワケだ。
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