先代猫を2匹亡くした飼い主さん（@imaharu2008）は2年間、猫がいない日々を送っていた。だがある日、なにげなく見たペットショップのサイトで、サビ猫のはるちゃん（スコティッシュフォールド）に心を掴まれ、再び猫がいる生活を送るようになったという。
【写真】愛くるしい表情の子猫時代 お家に来た初日からリラックスしていました
「はるは私にとって、食べる、寝る、働くなど“生きること”への理由と許しを与えてくれる存在です」
お店の特売用ガラスケースにいた「サビ柄のスコティッシュフォールド」
はるちゃんは、サビ柄のスコティッシュフォールドだ。サビ柄の純血種は人気がないとの判断から、売れ残ったり安く売られたりしていることが多い。
当時、はるちゃんは生後3カ月ほど。お店の真ん中に設けられた特売用のガラスケージに入れられていた。価格は、一般的なスコティッシュフォールドの半額以下だったという。
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何とも言えない不思議な顔立ちが気になり、会いに行った飼い主さんは、はるちゃんのキョトン顔に一目惚れ。その日のうちに自宅へ迎えた。
まずは、ケージ内で生活に慣れてもらおう。そう思っていたが、予想に反して、はるちゃんは初日から物怖じせず、食欲も旺盛。トイレもしっかり行い、飼い主さんの手足にじゃれついて遊びもした。
「ただ、ある程度大きくなるまで、夜はソフトケージの中で寝させていました。大変だったのは、脱走防止と誤飲防止です」
はるちゃんは廊下に脱走防止用の柵をつけても平気で登ったため、飼い主さんは何度も加工を繰り返したそう。誤飲対策はおもちゃを慎重に選び、長い猫じゃらしは遊んだらすぐに片付けるように注意した。
子猫期のはるちゃんは、甘えん坊。夜や朝方には飼い主さんの首に顔を埋め、チュパチュパやふみふみをしてくれた。
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「まるで、キスマーク。私の首は、いつも赤くなってかぶれていました（笑）。母猫が恋しかったんでしょうか。1歳になる頃にはしてくれなくなったので、寂しくなりました」
変わらない「キョトン顔」や外出後の“ナデナデの罰”に癒されて
ただ、甘えん坊な一面は健在。飼い主さんが外出すると、お気に入りのボールを咥えて鳴きながら姿を探す。そのため、帰宅すると部屋のあちこちにボールが落ちている。
一目惚れしたキョトン顔も、大人になっても変わらなかった。鳴き声が独特なはるちゃんは普段、ほぼ鳴かないものの、時折、インパクトある顔からは想像できない、か細くて小さな声を聞かせてくれる。
そうしたはるちゃんらしい個性は飼い主さんにとって、とても愛しいものだ。
「成長するにつれて、より穏やかでマイペースな子になりました。甘えるけれど、ひとりの時間も好き。抱っこは嫌いですが、お留守番の後だけは私の顔を見てドッテンと横たわり、ナデナデの罰を課せられます」
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命の“価格”と“価値”はイコールじゃない
スコティッシュフォールドは、軟骨や骨に異常が起きる遺伝性疾患「骨軟骨異形成症」が発症する子もいる。飼い主さんはそうした猫種としての特徴を理解した上で、高所へのジャンプや降りる動作が苦手なはるちゃんのために、ステップ代わりになるものを配置。関節に負担がかかりにくいように配慮している。
また、折れ耳で耳の中が汚れやすいため、濡れコットンなどで拭き、健康を維持している。
命の値段を左右した「サビ柄」は、飼い主さんにとっては不思議な魅力を持つ愛しい個性だ。
「はるは体の左右でサビ柄の度合いが違い、光の当たり方や季節によっても全く違って見える。毛柄の不思議さを感じます」
犬猫だけでなく、ハムスターやウサギなどといった動物の好みが毛色や種類で分かれ、人気が価格に反映してしまうのはある意味、仕方がないことなのかもしれない。けれど、毛色によって処分されたり、不幸になったりする子が出てくるのは許せない。
はるちゃんと出会ったからこそ飼い主さんはそう感じるようになり、価格と価値はイコールではないと強く思うようになった。
「全ての猫飼いさんには、運命の出会いがあるのだと思う。NNN（※猫好きの間で語られる架空の猫派遣組織）の企みで、全ての猫が幸せになれればと願います」
はるとの出会いも、運命。だから、この子が幸せに暮らせるよう、できる限りのことをしていきたい。そう話す飼い主さんの猫愛は、はるちゃんの心にも届いているはず。どの毛色や毛柄、猫種も等しく愛され、守られる社会になってほしい。
（愛玩動物飼養管理士・古川 諭香）
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