東京電力柏崎刈羽原発=2024年8月、新潟県柏崎市(AFP時事) 新潟県は16日、東京電力柏崎刈羽原発で事故が起きた場合の被ばく線量のシミュレーションを公表した。原子力規制委員会が仮想の原発で行った試算を元に、原発の出力や構造、気象などを実際の条件に合わせて実施。原発から2.5キロ圏内で、国際原子力機関(IAEA)が定める避難・屋内退避の基準を超えるケースがあった。県の避難計画は、5キロ圏内で放射性物質放出前に避難や屋内退避を行うことにしており、「基準を上回る被ばくを避けることが見込まれる」としている。
シミュレーションは、炉心が著しく損傷し、冷却機能や電源が喪失した状態で、7号機単独と6、7号機の同時事故を想定。東京電力福島第1原発事故を踏まえた重大事故対策が機能することを前提に、格納容器から放射性物質が漏えいした場合や、漏えいに加えて放射性物質を低減して排気する「フィルター付きベント」を使用した場合などを解析した。
その結果、IAEAが定める避難や屋内退避の基準線量を超えるのは同原発から最大2.5キロ圏内、安定ヨウ素剤の服用基準を超えるのは最大4.5キロ圏内で、いずれも放射性物質の放出前に避難などの措置を取る5キロ圏内だった。
屋内退避の効果も解析。木造家屋の場合、屋外に滞在する場合に比べ被ばく線量は10〜23%低減したほか、鉄筋コンクリート造ではさらに低減が見込まれるとした。
県はシミュレーション結果を通じ、県民に避難計画への理解を求めるとしている。