長岡一也さん(フリーアナウンサー)【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆対抗には類まれなスピードが武器の馬を
ヴィクトリアマイルは、荒れることを前提に考えたくなるレースだ。だが、この5年の勝ち馬を見ると、芝1600米のGI勝ち馬が4勝もしていることと、そのうちの3勝が桜花賞馬だったことを考え合わせると、そんなに簡単に結論は出せない。
実績のある馬に好調馬が加わり、いずれもが重賞ウィナーとなると迷ってしまうのは当然だが、ここ5年で3勝の桜花賞馬を素直に取り上げてみたい。そのステレンボッシュは、オークス2着、秋華賞3着、香港ヴァーズ3着から実力は本物。前走の大阪杯の大敗が気になるが、久々でテンションが高く、いつもの手応えがなかったもので、一叩きされ牝馬同士なら違う筈だ。これまでも、アーモンドアイやグランアレグリアなど、このケースの勝ち馬は、GIを勝った距離で巻き返していた。ベストの距離で広い東京コースならステレンボッシュでなんとかと思っている。
これと対戦戦績が1勝1敗の5分なのが、アスコリピチェーノで、こっちは類まれなスピードが武器。阪神JFを勝ち、昨年は桜花賞とNHKマイルCがともに2着。国内では6戦4勝、2着2回と抜群の安定感があり、今年の2月、2度目の海外遠征でサウジアラビアのスプリント戦を勝っている。府中のマイルは2度目になり、速いタイムの決着なら、この馬だろう。
勢いの乗っているという点では、2連勝中のアドマイヤマツリだ。福島牝馬Sを2馬身差で完勝していて、まだまだ奥がありそうだ。ただ、上がりタイムが物足りず、初めてのマイル戦という不安があるが、昨年6月に初勝利してから6戦5勝、一気に重賞勝ちをしたことと、東京は5戦3勝2着2回と得意にしているので、もしかしたらの可能性に賭けてみたい一頭だ。
東京の芝1600米で新馬勝ちのあるボンドガールは、1勝馬ながら秋華賞2着など重賞で2着が5回もあり、牝馬ではトップクラスの実力があると言える。前走の阪神牝馬Sで1番人気ながら5着に終わったが、外々を回る流れで苦戦していた。2走前の東京新聞杯のようにじんわり上がっていくのが良く、東京のマイルは歓迎と言っていい。
ヴィクトリアマイルは、平均的に流れは速く、良馬場ならスピード能力と決め脚が求められる。それともう一点、3連単の配当が他のGIレースよりも際立って高い点にも注目したい。上位3頭の中に人気薄の馬がからんでいるからで、この10年で一番の高配当を記録した2015年の2070万円を超えたときには、3着に18番人気のミナレットが逃げ粘っていた。その他91万円を超えた8年前は11番人気のデンコウアンジュが2着、昨年は14番人気のテンハッピーローズが1着になっており、どちらも直線の末脚が光っていた。
今年は、末脚を武器に3連勝で中山牝馬Sを勝ったシランケドをマークしておく。
「ヴィクトリア その名も高き 女王の座」