東京地裁=東京都千代田区(AFP時事) 三井住友信託銀行元社員によるインサイダー取引事件で、金融商品取引法違反罪に問われた元同社証券代行営業第二部長の片山肇被告(55)の初公判が22日、東京地裁(開発礼子裁判官)であった。片山被告は「間違いありません」と起訴内容を認め、弁護側は自首が成立すると主張した。
検察側の冒頭陳述によると、片山被告は2021年1月、老後資金として10年間で2000万円貯蓄することを計画。所属部署は株取引が原則禁止だったが、勤務先を父親が経営する会社と偽り、同4月に新たな証券口座を開設した。
片山被告は取引先の重要情報を管理する立場だったが、担当企業の株を取引しても問題にならず昇進したことがあったという。検察側は「発覚することはほとんどないと思うに至り、犯行に及んだ」と指摘した。
被告人質問で片山被告は「目標を達成するために視野が狭くなってしまった。二度と株取引はしない」と述べた。
起訴状などによると、片山被告は次長や部長だった22年12月〜24年8月、業務を通じて知ったTOB(株式公開買い付け)情報を基に、3銘柄の計2万5900株を約3210万円で不正に買い付けたとされる。