横浜港の大黒ふ頭に並んだ新車=4月2日(AFP時事) トランプ米政権の関税措置を巡る日米交渉で、条件を満たせば自動車の安全性に関する審査を省略する「相互認証」の強化を日本側が提示していることが22日、分かった。米側が問題視する「非関税障壁」を撤廃し、協議を前進させる狙いがある。赤沢亮正経済再生担当相は、3回目の閣僚級交渉のため23日から3日間の日程で訪米する。ベセント米財務長官は欠席する見通しで、来週にも再び交渉する方向で調整している。
日本や欧州連合(EU)は、国連が策定した基準に基づき車の安全性を審査している。日欧間には、一方で審査を終えれば重複する試験などを省略できる相互認証の仕組みがあり、輸出時の費用や手間を削減できる。一方、米国には連邦政府独自の安全基準があり、日本への輸出手続きに時間がかかる。米側には「歩行者保護」の基準がないなど、考え方も異なる。
日本側は、同程度の安全性が確保できれば日米が相互に審査を省略する案を検討。これまでの日米の事務レベル協議で米国側に打診している。赤沢氏は事務レベル協議の結果を踏まえ、米ワシントンで閣僚級交渉に臨む。
日本は自動車への25%の追加関税を撤廃するよう米国に求めているが、米国は相互関税の上乗せ分を主な交渉対象とする姿勢だ。日本は非関税障壁の撤廃を交渉カードに、関税の見直しで歩み寄りを目指す。
ただ、今回は赤沢氏のカウンターパートであるベセント氏が日程の都合で欠席し、グリア米通商代表部(USTR)代表、ラトニック商務長官が交渉相手になる見通し。赤沢氏は短期間で再び訪米し、早期の合意に向けて集中的に交渉を行いたい考えだ。
赤沢氏は22日、訪米を前に自民党の森山裕幹事長、石破茂首相とそれぞれ面会。森山氏との面会後、党本部で記者団に対し、江藤拓氏の農林水産相辞任に関し「閣僚交代の影響を出さずにしっかりと交渉することが私の務めだ」と語った。
赤沢氏は同日夜の記者会見で「引き続き米国による一連の関税措置の見直しを強く求めるポジションは変わっていない」と述べた上で、「実りある協議にしたい」と意欲を示した。