第78回カンヌ国際映画祭で「シンプル・アクシデント」が最高賞のパルムドールを受賞したイランのジャファル・パナヒ監督(中央)と審査員長のジュリエット・ビノシュさん(右)、俳優のケイト・ブランシェットさん=24日夜、南仏カンヌ(EPA時事) 【カンヌ時事】フランスで開催された第78回カンヌ国際映画祭は24日夜(日本時間25日未明)の授賞式で、コンペティション部門の最高賞パルムドールをイランの名匠ジャファル・パナヒ監督の「シンプル・アクシデント」に授与した。日本から唯一ノミネートされていた早川千絵監督の「ルノワール」は受賞を逃した。
受賞作は、自動車で犬をひいた事故が思わぬ出来事に発展する物語。パナヒ監督は「チャドルと生きる」(2000年)でベネチア国際映画祭の金獅子賞、「人生タクシー」(15年)でベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞。パルムドールの獲得により、世界三大映画祭で最高賞を制覇した。
反体制派を支持したとして、イランで2度投獄されたパナヒ監督は、困難な状況の中で映画製作を続けてきた。授賞式では「私の国の自由」を訴え、会場の映画関係者や観客からスタンディングオベーションを受けた。

第78回カンヌ国際映画祭で「ルノワール」の公式上映前のレッドカーペットに参加した出演者ら。左から石田ひかりさん、早川千絵監督、主演の鈴木唯さん、リリー・フランキーさん=17日、南仏カンヌ(EPA時事)