
展示面積が狭く、施設の老朽化も進む滋賀県立美術館(大津市)の改修に向け、県は2026年3月に整備基本計画を策定する。工事に伴って休館期間を設ける予定で、同館では課題の洗い出しを進めている。
県立美術館は1984年、県立近代美術館として開館した。増改築と新棟建設による「新生美術館」計画もあったが建設費高騰などで頓挫。2021年6月、老朽化対策などが施された上で現在の名称でリニューアルオープンした。
現在の展示面積は、全国44都道府県立美術館の中で8番目に狭い1965平方メートルしかなく、天井高は4メートルと美術館としては低い。所管する県文化芸術振興課は「大型作品の展示が窮屈なので拡充したい」と説明する。
4年前のリニューアルオープン時点で展示室を中心に老朽化対策が行われたものの、抜本的な改修はできていない。近年の集中豪雨で雨水がエントランスに侵入し、壁面にも染み出しているという。
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県立美術館があるびわ湖文化公園内の動線も課題だ。昨年、同館と立命館大が公園利用者約400人を対象に実施した共同調査によると、同館の来館者の72%が車、22%がバスで訪れているが、北駐車場やバス停から入り口までは400〜500メートル離れ、傾斜もある。対策として、美術館入り口を現状の南側に加え、北側にも追加して距離を短縮したいという。
館内の動線にも同様に改善が求められている。工作体験などに使われるワークショップルームや子どもが遊べるキッズスペースが、エントランスや1階の展示室から離れた2階にあり、中学生以下の展覧会観覧者数が11・9%と少ない現状にもつながっているとみられる。
作品搬入専用の出入り口もなく、エントランスから搬入するため、来館者の動線と重ならないよう搬入作業に制約がある。さらに収蔵庫は、23年度にアールブリュット作品550件の寄贈を受けたこともあって棚のスペースが不足し、美術作品を床置きするほど収容力が限界に近い。
県文化芸術振興課は「雨水が浸入するなど、40年を経過した建物が環境の変化に対応できていない。作品がよりよい環境で鑑賞できるよう検討したい」としている。
(まいどなニュース/京都新聞)
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