イスラエルとイランからの邦人退避に備え、ジブチに派遣される航空自衛隊C2輸送機に乗り込む隊員=21日午後、鳥取県の美保基地 交戦が続くイスラエルとイランからの邦人退避に備え、航空自衛隊の輸送機が21日、自衛隊の拠点があるアフリカ東部のジブチに向け出発した。中東情勢が緊迫化する中、退避に向けた迅速な対応ができるよう、現地での準備や検討を進める。
同日午後2時45分〜3時ごろ、鳥取県の美保基地から、空自のC2輸送機2機が待機先のジブチへ向かって離陸した。岩屋毅外相からの要請を受けた中谷元防衛相が19日、邦人輸送の準備を命じていた。邦人退避を実施する際には、改めて防衛相が命令を出す。
外務省は20日、イスラエル、イラン両国に滞在する邦人ら87人をバスで隣国に退避させたと発表。イスラエルに約1000人、イランに約220人の邦人が今も残っているとみられ、21日もイランでバスによる2回目の退避を実施する予定だ。
防衛省によると、空自と陸自隊員ら約120人が、3月に新設された陸海空3自衛隊を一元指揮する「統合作戦司令部」の南雲憲一郎司令官の下で任務に当たる。これとは別に隊員約10人が既に中東地域に到着しており、経由地となる周辺国の空港などの情報収集や連絡に当たっている。
制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長は19日の記者会見で「極めて不透明な状況と認識している。タイミングを逃さないことが(輸送機派遣の)狙いだ」と強調した。

イスラエルとイランからの邦人退避に備え、ジブチに向け離陸する航空自衛隊のC2輸送機=21日午後、鳥取県の美保基地