システム障害により、自動料金収受システム(ETC)レーンが閉鎖された中央自動車道の稲城インターチェンジ=4月6日、東京都府中市 中日本高速道路(NEXCO中日本)が管轄するエリアで4月、自動料金収受システム(ETC)の大規模障害が発生した。東名高速道路や中央自動車道など広域で混乱を招き、応急復旧まで約38時間を要した。全国で料金所の無人化が進む中、利便性の追求とトラブル対応の両立が課題となっている。
国土交通省は、料金所の人員減を見越して2030年度までに全国の料金所をETC専用とし、無人化する目標を掲げている。NEXCO中日本は25年4月末時点で、料金所約340カ所のうち54カ所をETC専用としており、広報担当者は「無人化を進める方針に変わりはない」と話す。
障害発生時、同社はすぐに原因を特定できず、料金所での車の滞留を解消するためバーを開放。後日精算を求める異例の対応を取った。発生から約4週間後の5月2日時点で料金を支払ったのは、想定される影響台数の半数に満たない約45万台だった。
また、障害が起きた料金所には同社からETC通信を切るよう指示が出されたが、切断していなかった料金所もあり、そこを通行した利用者には自動的に精算が行われていた。同社は同日、こうした対応が混乱と不公平感を招いたとして謝罪し、障害時の通行料を実質無料にすると発表した。
ETCに詳しい国立情報学研究所の佐藤一郎教授は、「24時間の稼働が求められるため、システムが複雑化した可能性が高い。長時間止めて更新することも必要だ」と指摘する。
同社は、システム開発会社との間で24時間の連絡体制を確立するなどの対策を打ち出した。広域障害を想定したマニュアルの不備も対応の遅れにつながったとして、今月中の策定に向け作業を進めている。