算数の男女格差はいつ生まれる? フランスチームが2019年に研究 250万人以上の小学生で大規模調査

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2025年06月24日 08:11  ITmedia NEWS

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 フランスのUniversity Paris Citeなどに所属する研究者らが2019年に発表した論文「Rapid emergence of a maths gender gap in first grade」は、算数・数学(以下、算数)の男女格差がどこで生まれるのかを調査した研究報告だ。


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 この研究では、フランスの小学1年生と2年生(265万3082人)を対象にした4年間の言語と算数のパフォーマンスにおける縦断的評価を実施した。


 結果、男女ともに入学時は同様の算数スコアを示したが、就学4カ月後には男の子に有利な男女格差が有意になり、1年後にはその差が顕著になった。


 なぜ女子は算数で後れを取るのか。研究者たちは複数の要因を指摘している。教師や保護者が無意識のうちに「男子は算数が得意」というステレオタイプを伝えること、男子の成功は才能によるもので女子は努力によるものだという偏見が女子の自信を損なうこと、学校で「算数」という科目が明確に区別されることで女子が自らにステレオタイプを当てはめてしまうことなどが挙げられる。


 また、女子は男子よりも算数に対する不安を抱きやすく、時間制限のあるテストでの成績に影響する可能性もある。


 改善策として、算数への不安を軽減する支援の提供、授業中に男子と同じ頻度で女子の参加を促すこと、教室外での好奇心と問題解決能力の育成などを提案している。さらに、算数の得意さの定義を広げる必要性を指摘。素早く答えることだけでなく、解法を見つけることも能力の指標として認められるべきだという。


 Source and Image Credits: Payne, C. Reading and the math gender gap. Nat Hum Behav 3, 1038(2019). https://doi.org/10.1038/s41562-019-0753-9


 ※ちょっと昔のInnovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。X: @shiropen2



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