
【前編】「楽しそうにご飯を食べればいい仕事でしょ?」スザンヌ 32歳での高校再入学を決意させた息子からの「無邪気な一言」から続く
息子にかけられた「どうして勉強するの?」というひと言をきっかけに、“学び直し”を決意。高校に再入学し、35歳で卒業した後、日本経済大学経営学部に進学、この春、39歳で大学を卒業したタレントのスザンヌ(39)。だが、仕事、子育て、そして学業。すべてをこなしながらの大学生活は、想像以上に過酷なものだった。
■年末年始の怒涛のスケジュールに「もうダメかも」と
「日本経済大学に入学してからは、朝4時に起きて、息子が起きる前に講義の動画を見ることから1日が始まりました。息子を学校に送り出した後も講義を受け、それ以外の時間で仕事をする毎日で。仕事と子育てをしながらの勉強は、体力的にも厳しくて、『もうダメかも』と思ったことも何度もありました」
なかでも、大学1年生時の年末年始は「限界を感じた」と振り返る。
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「テレビの特番などで仕事がとても忙しい時期に、大学の講義や提出物も重なって。それに、冬って風邪も流行るじゃないですか。息子も熱を出してしまって……。一人で看病をしながら、仕事やレポートに追われる状況でした。仕事も勉強もどちらも諦めたくない。でも、さすがにどちらかは手放さないといけないって思いましたね。このときばかりは、本当にもうダメかもって思いました」
そんなとき、スザンヌの妹がピンチを救ってくれた。息子の看病を手伝ってくれたのだ。
「助けてくれた妹には感謝しかありません。仕事に行って、少しでも空き時間があればレポートを書く。そうして、なんとか課題も仕事もやり切りました。その年末年始は、さすがに疲れ切ってしまって、ずっとぐったりしていました。
でも、この経験があったからこそ、『この先生のレポートは早めに出しておこう』とか、『この課題は時間がかかるから、仕事の合間にできるだけ進めておこう』とか、スケジュール管理を徹底するようになりました。2年生以降は、少しずつやりくりができるようになっていきましたね」
■20歳前後の“同級生”と学食でご飯を食べた日々
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講義はオンライン中心だったが、2〜3カ月に一度はキャンパスに足を運んだ。同級生と一緒に講義を受け、学食でご飯を食べる時間も楽しみのひとつだったそう。
「大学の学食がとても安くておいしくて、そのうえ体のことを考えたメニューがそろっているんですよ。それが楽しみでキャンパスに通っていたくらい(笑)。20歳前後の子たちと一緒に過ごす時間も新鮮で、将来の夢やクラブ活動の話を聞いていました」
吹奏楽で金賞を目指して猛練習している子や、テニスで実業団入りを目指して東京に行く予定の子、みんな真剣で、輝いていた。
「精神年齢が私より上なんじゃないかって思うくらい大人びた子もいて。いろんな子と友達になれて、『いい化粧水を教えて』って聞かれて、『いやいや、その若い肌なら私のおすすめはいらないよ』なんてやりとりをしたり(笑)。年齢は離れていても、同級生として話せる関係が、自分の人生の財産になったなって思いますね」
いっぽうで、思わず“母親目線”になる場面も。
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「講義中に、いまする話じゃないよねっていう発言をする学生がいたりして、『ちゃんとまわりの状況を読もうよ』って思うこともあったんですけど(笑)。でも、そういうやりとりも含めて、学生たちの若さや勢い、可能性に触れるたびに、『まだまだ頑張ろう』ってやる気をもらえました。大学生活ってこういうものだったんだなって、青春をやり直しているような気持ちになりました」
講義での学びも、仕事に大いに役立つ内容だった。
「漠然と夢見ていた起業も、仕組みを基礎から学ぶことで、起業や経営が自分とは遠い世界のものではないと気づいたんです。マーケティング論の授業が特に楽しくて。
たとえば、お店を経営していて投資資金をつぎこみすぎると、元を取ろうとしてさらに投資を続けてしまうことってありますよね。そういう状況にも『コンコルド効果』という名前があって、『引き際が大事だ』と学びました。感覚で理解していたことを体系立てて学べたことで、経営が自分にとってぐっと身近な存在になりました。これまでよくわからないまま税理士さんに任せきりにしていたお金のやりとりも、言葉の一つひとつが少しずつ理解できるようになって。知ることで社会とつながっていく感覚がありました」
■心がけたのは「私がごきげんでいること」
いっぽうで、“諦めた”ことも。たとえば家の中は常にごちゃごちゃだったそう。泥棒が入ったのでは、と思うほどのこともあったが、誰かに見られるわけではないし、息子のまわりさえ清潔であればいいと割り切ることにした。
「在学中にもっとも心がけたのは、『私がごきげんでいること』。忙しいからってピリピリしていたら、学んでいることがマイナスだと子供に伝わってしまうし、親子2人の生活ですから息子も逃げ場がなくなってしまいます。だから、ごきげんでいるために、ありとあらゆることを諦めました」
食事も、外食や弁当を利用したり、朝食をカップラーメンで済ませた日もあった。
「機嫌が悪いまま体にいいものを食べるより、買ってきたお弁当を2人で楽しく食べるほうがいいと思ったんです。息子も『イライラしながら食べる手料理より、楽しく食べる唐揚げ弁当のほうがおいしい』って言ってくれていたので。それでいいじゃんって思えたんです(笑)」
息子の学校の準備にも、以前ほどは時間をかけられなくなっていた。
「体操服にゼッケンをつけるときも、時間がなくてガタガタになってしまったり、白い服に間違えてネイビーの糸で縫ってしまったことも。でも、『これでいいか』って。完璧なお母さんを目指すのはやめました。部屋が片づいていなくても、ゼッケンの糸の色が違っても、息子と毎日楽しく過ごせればそれでいいかという気持ちです」
そして、学び直しは「母親としての自分」への向き合い方も変えていった。
「息子も小学校高学年になり、少しずつ手が離れていくのを感じて、寂しさを感じていました。母親としての役割の終わりを感じるというか。でも、息子には息子の人生があって、私にも自分の人生がある。この先は、母としてだけでなく、一人の人間としてこの学びをもっと深めていこうと、前向きに捉えられるようになったんです。子育てに費やしてきた情熱を、学びや起業に向けられるようになったのも、このころからですね」
その後、起業ゼミでの学びをきっかけに、アパレルブランドの立ち上げや地元での事業にも挑戦することになる。
「いくつになっても学ぶことは楽しいと思えたし、挑戦するのに遅すぎることはないと実感した4年間でした」
“ごきげんでいること”を軸に、仕事も学業も子育ても諦めずに走り抜けた“学び直し”の日々。完璧でなくても、前へ進み続けることが、自分の新たな道を切り開く力になっていた。
【後編】《芸能界のツテも使わず》スザンヌ 地元・熊本の旅館を1.5億円で買収、経営に奮闘…30代からの学び直しでついた「覚悟」へ続く
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