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美化語は、言葉を美しく上品に表す言葉です。相手を高めることはありませんが、使うことによって、相手に対して品のよい印象を与えます。
美化語は、大きく分けて2種類あります。「お」や「ご」をつけ足して表現する「つけ足し型」、別の言葉に言い換えて上品さを表す「言い換え型」です。
「つけ足し型」の代表例として、「お名刺」「お身体」「ご都合」「ご意見」などがあります。
「言い換え型」の代表的なものは、「お手洗い(トイレ)」、「おいしい(うまい)」、「おなか(腹)」などが挙げられます(カッコ内は元となる表現)。
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「お」や「ご」は基本的に、カタカナの言葉や外来語、長い単語にはつけません。たまに「おビール」「おコーヒー」などと表現する人がいますが、正しくは、「ビール」「コーヒー」です。「運転免許証」や「参加申込書」など、平仮名表記にしたときに長いなと感じる単語にも「お」や「ご」を加えるのはやめておきましょう。
そのほかにも、「失敗」「火事」「頭痛」など、よい意味ではない言葉にもつけないのがマナーです。特に「ご失敗されたんですね」などという言い方はしませんので、注意が必要です。
では、どんな言葉に「お」や「ご」をつけるとよいのでしょうか。考え方としては、次の通りです。
(1)言い換えたときに「あなたの」と表現できるもの
(2)自分の物事でも、相手に行為が及ぶ場合につけるもの
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(1)の例として、「お名刺」「ご都合」などが挙げられます。「お名刺」は、「あなたの名刺」と言い換えられます。「ご都合」も「あなたの都合」と表現することができます。
(2)の例としては、「お願い」「お礼」などがあります。「願い」も「礼」も、相手に行為が及びますので、「お願い」「お礼」と表現することができます。メールや手紙などで、「お」を「御」と、漢字で表現することもあります。
●「一番伝えたいこと」を優先する
ところで、美化語を使うときに、注意してほしいことがあります。それは、「多用しすぎない」ということです。美化語は使うだけで品のよい印象を与えることもあり、つい使ってしまいがちなのですが、過剰に使うと真意が伝わりづらくなる側面もあります。一番伝えなければならないことがぼやけてしまうのです。中には、美化語を使いすぎることに対して嫌悪感を抱く人もいます。
例えば、相手を立てようとするあまり、「お客様、お手元のお飲み物を、どうぞお召し上がりになってお待ちくださいませ」というように表現しがちです。その場合はシンプルに「お客様、どうぞ飲み物を召し上がってお待ちください」でも伝わるでしょう。
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「お」や「ご」を言葉につけすぎて本当に伝えたいことが伝わりにくいようなら、思い切ってシンプルに表現することも1つの方法です。美化語は必要に応じて選択しましょう。
(高田将代)
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