豊田合成が実証実験しているペロブスカイト太陽電池を活用したスマートウエアを着用する大阪・関西万博のスタッフ(右)(同社提供) 「未来社会の実験場」と位置付けられる大阪・関西万博で、自動車部品メーカーの豊田合成はフィルムのように薄くて軽く、柔軟な「ペロブスカイト太陽電池」を装着した衣服の実証実験を行っている。炎天下で働く人の暑さ対策などとして、衣服に貼り付けた同電池で発電し冷却ファンを動かす、「スマートウエア」の実用化を目指す。
スタートアップ(新興企業)と共同開発した電池の重さは約10グラムと全く重さを感じない程度という。高周波電源の制御技術を生かした蓄電装置も開発し、長時間使えるウエアとした。
万博では、パビリオンの案内スタッフ10人ほどが着用し、適切な電池の大きさなどについて、技術的に実証していきたい考えだ。同社の婦木慎一郎大阪・関西万博開発準備室長は「来場人数や多様性といった点から実証実験に非常に適しており、万博に代わる場は国内にはない。課題を洗い出し、開発を加速させたい」と意気込む。
1日から、熱中症の恐れのある人の早期発見・報告体制の整備や、応急処置の手順作成などが企業に義務付けられるなど、職場での熱中症対策は重要な課題となっている。豊田合成はその一役を担うべく、2027年の実用化を目指している。