今年度の補正予算案が衆議院を通過しました。野党側の求めに応じ、28年ぶりに予算案が修正される異例の展開を見せています。
年収“103万円の壁” 「178万円を目指し…」で合意12日の衆議院・予算委員会でリラックスした表情を見せた石破総理。その理由は…
国民民主党 長友慎治 衆院議員
「私は会派を代表し、令和6年度補正予算案に賛成。また、自民党・公明党が共同提出した修正案に賛成の立場から討論をおこないます」
少数与党となる中、自民党は11日、国民民主党が主張するいわゆる年収103万円の壁について「178万円を目指して来年から引き上げる」ことで合意。国民民主党の補正予算案への賛成を取り付けたのです。
石破総理
「この合意というものを持つ意味は非常に大きいと思っております。この合意というものをよく踏まえました上で、政府として誠実に対応してまいります」
また、日本維新の会も与党と教育無償化に向けた協議を始めることで合意し、与党の修正案などに賛成しました。
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一方、立憲民主党は能登半島地震の復興予算増額など補正予算案の修正案を提出。委員会では政府の原案、与党の修正案、立憲の修正案と3つの案が並行して審議される異例の展開となりました。
立憲民主党 城井崇 衆院議員
「補正予算案が提出されて、我々に出された数字・説明というのは限られているわけです。我々としてはチェックのしようがない。総理、『熟議』と『公開』のためにも、ぜひそうした事前の情報共有について、与党並みに野党もしていただくということをお約束いただきたい」
石破総理
「ご趣旨はよく理解をするところでございます。充実した議論をいただくためにも、情報の公開というものについて、私どもの中でもよく検討いたしてまいります」
与党側は立憲が主張する能登半島の復興予算積み増しを受け入れ、立憲も与党修正案に賛成しました。予算案が修正され可決されるのは、1996年の自民・社会・さきがけの連立政権以来28年ぶりです。
政権幹部
「野党に押し込まれたように見えるかもしれないけど、それだけ取り込めたということだ」
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一方、「政治改革」をめぐっては、与野党の隔たりは大きいままです。
12日、特別委員会で実質的な審議が始まりましたが、政策活動費の「公開方法工夫支出」や企業・団体献金の議論も平行線のままで、着地点は見えていません。
井上貴博キャスター:
与党が数で押し切れない政治になりましたので、どのように協議をしていくか、ここからが正念場です。
自民・公明・国民が合意した内容は…
【特定扶養控除】
▼子どもの年収要件の引き上げ
与党側:130万円に緩和
国民民主党:150万円・2025年実施
【ガソリン税の暫定税率】
▼廃止することで一致
→廃止時期については今後協議
【103万円の壁】
▼2025年から引き上げ、178万円を目指す
→具体的な引き上げ幅については今後協議
ホラン千秋キャスター:
これまでは一つ、二つの党の価値観によって押し切られていた部分が、さまざまな選択肢で議論されるということは素晴らしいことだと思います。どう着地するのでしょうか。
井上キャスター:
地方の減収分をどう補填するかまだ見えてきませんし、期日も決まっていません。そのあたりはどうなっていくのでしょうか。
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与党側としては、▼補正予算を早く成立させることが最優先、▼国民民主党の減税の額を具体的に示すのは財源の面で厳しいということのようです。
TBSスペシャルコメンテーターの星浩氏は「自民が立憲の修正案に応じたため、自民・立憲の連携に国民民主が危機感を持ち、あいまいな内容でも合意した」と分析しています。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年