世界的熱狂を呼んだ官能文学を再び映画化し、全てが現代に刷新され生まれ変わった『エマニュエル』。この度、主人公エマニュエルが、謎めいた女性ゼルダと出会う本編映像が解禁された。
前作『あのこと』で世界中の映画ファンを虜にした、フランス映画界の新鋭オードレイ・ディヴァン監督が描く本作。
エマニエル・アルサンが執筆したベストセラーの原作「エマニュエル夫人」が「一人称で展開されている」ことに着目した監督は、1974年の映画版とは異なる視点から「エマニエル夫人」を映画化した。
監督は創作する際、「女性主体のエロティシズムとはなにか?」を最重要課題として考えていたと明かしており、この度、その顕著な例となるキーキャラクターが登場するシーンの一部が到着。
ホテルの品質管理の仕事を請け負うエマニュエルは、監視室のベテラン従業員(アンソニー・ウォン)からプールの常連客ゼルダ(チャチャ・ホアン)の存在を教えられる。宿泊客でもないのに、毎日のようにプールサイドで本を片手に男性客とおしゃべりをするゼルダは、やがて敷地の奥にある人が寄り付かない小屋へと消えていく。
気になったエマニュエルがその跡をたどると、そこには男性客と情事を重ねるゼルダの姿があった。エマニュエルの視線に気づくも焦ることのないゼルダから、エマニュエルは目が離せなくなってしまう――。
1974年の映画『エマニエル夫人』にも、エマニエルの社交界の友人として性に奔放なマリアンジュという若い女性が登場する。
ゼルダにもその影を感じるものの、彼女の場合は自身の身体が求めるものが何であるかを知っており、エロティシズムにおいて一番大事なものは何かをエマニュエルに指南する役となる。
本編では、やがてエマニュエルとゼルダの関係がシスターフッドに近いものに変化し、過去作とは異なる“女性同士の連帯”を描く重要なキャラクターとなっていることがうかがえる。
男性の欲望の対象としてではなく、自らの官能と快感のために行為をする女性の姿をとおして、オードレイ・ディヴァン監督は多様な観客たちに新しい感覚を伝えようとしている。
なお、本映像の冒頭にホテルの監視員役として登場するのは、『インファナル・アフェア』シリーズなどで知られる香港出身の大スター俳優アンソニー・ウォン。
現在もイギリス統治時代の名残が見え隠れする街で、激動の時代を生き抜き、若者たちの民主化運動を支持した名俳優が作品に説得力をもたらしている。
『エマニュエル』はTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開中。
(シネマカフェ編集部)