2025スーパーGT GT300富士合同テスト 小山美姫がドライブするapr LC500h GT 2月6〜7日に富士スピードウェイで行われたGTエントラント協会主催のGT300合同テストで、2025年シーズンからスーパーGTにフル参戦する小山美姫が31号車apr LC500h GTを初ドライブ。その手応えを聞いた。
小山はFIA-F4からWシリーズ、フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップとフォーミュラレースで活躍。スーパーGTでは2023年にANEST IWATA Racing RC F GT3で決勝デビューし、2024年はアールキューズ AMG GT3で3レースを戦った。そして2025年、aprのエースカーである31号車apr LC500h GTで自身初のGT300フル参戦が決まった。
その知らせは、1月にTOYOTA GAZOO Racingから発表された参戦体制で明らかになったことだが、小山は「前から(発表を)ずっと待っていたわけではなく、体制発表が行われたタイミングくらいで『乗れるんだ』と知ったのでビックリしました」と、そのときの心境を振り返る。
「昨年はスーパー耐久シリーズに一年間参戦させてもらいましたけど、スーパーGTフル参戦に向けて『少しでもGT車両に慣れて走行距離を稼ぐ』ことがひとつの目標でもありました。それがこうしてフル参戦に繋がったことは、何よりもいちばんの結果だと思うので良かったです」
合同テストでapr LC500h GTを初ドライブした小山は、2日間4セッションで順調に走行を重ねた。GTA-GT300規定の車両に乗るのは2024年7月のSUGOテスト以来となるが、違和感なく乗ることができたと小山は言う。
「昨シーズンまでレクサスRC FやメルセデスAMGといったGT3車両に多く乗りましたけど、やはりそれぞれのクルマで特性が違うことは普通ですし、今回がLC500hで初走行ということもあり、あまり深い部分までテストできていないので、まだこれからですね。でも、タイムは良いのでフィーリングは悪くないと思います」
「ただタイヤに関しては、どこまで自分がしっかりとペースを掴むことができるかが大事になってくるので、ひとまずユーズドタイヤで走行を重ねることができたのは、初乗りにしては良かったです。一方で、今年は予選アタックに挑むことになるので、そこでタイムを出さないといけません。その点はまだ緊張感が残るといいますか、不安な部分ではあります」
■日本語習熟中の“優男”ラスムッセンとともに表彰台を狙う
apr LC500h GTでの初ドライブをそう語った小山だが、おなじくapr LC500h GTで初のスーパーGTフル参戦になるのが、パートナーのオリバー・ラスムッセンだ。合同テストにも参加し、小山、根本悠生とともに走行を重ねたデンマーク人ドライバーの印象を聞くと、海外経験豊富な小山をしても「あまり見たことのないくらい、ていねいな人です」と笑顔でエピソードを語った。
「何と言うか『私がもっと気を遣ったほうが良いのかな』と思うくらい日本人よりも気を遣ってくれますね。シート合わせのときは、オリバーが終わって私の番になったときも来てサポートしてくれました。それも、ひとつひとつのことを自分のことのように真剣に取り組んでくれます。もちろんチームのために何かをするのは当然のことかもしれませんけど、チームメイトなどは関係なく、優しくて面倒見が良いタイプだと思います」
「あと、日本語もどんどんと覚えていて、搬入日に帰るとき『また明日ね』と言われたんですよ(笑)。GT300のことも『じーてぃーさんびゃく』と言ったり、私がメカニックさんと年齢の話をしていたときの日本語も聞き取っていたり、すごく覚えが早いです。日本語の勉強もしっかりしているようで、これからは悪口も言えません(笑)」
ちなみにラスムッセンの走りについては、テストを見る限りは「慎重派」という印象を受けたとのこと。そんな新パートナーとともに、小山はスーパーGTフル参戦初年度の目標を述べた。
「私にとってはスーパーGTのフル参戦は初めてのことなので、まずは本当に皆さんに感謝したいですし、嬉しい気持ちです。でも、同時に結果を出さないといけません。チームは勝ちたいという思いもありますけど、まずは表彰台を獲得したいですね」
小山にとってaprは昨年のスーパー耐久シリーズで所属していたこともあり、コミュニケーションは何ら問題なさそう。この話を聞いているときや2日間の合同テストでも雰囲気は明るそうで、今季はapr LC500h GTが新ドライバーコンビながらシリーズをかき乱す存在になるかもしれない。