異例の“シーズン途中でドライバー入れ替え”の可能性も。TGMGP片岡監督「すべてを活かしきれていない」

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2025年03月20日 13:00  AUTOSPORT web

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平良響(KDDI TGMGP TGR-DC)/2025スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦鈴鹿
 2025年シーズンから新体制でスーパーフォーミュラに臨むKDDI TGMGP TGR-DC。小高一斗、平良響を擁して鈴鹿サーキットでの開幕大会に臨んだが、予想以上にうまくいかない結果に終わり、片岡龍也監督は「ほろ苦いデビュー戦になった」と振り返った。


■予想よりも「全然下」に終わった開幕ラウンド

 TGR(トヨタ・ガズー・レーシング)の育成ドライバーたちがトップフォーミュラで戦う機会を増やすべくプロジェクトがスタートし、MORIZOが企画監修を行い、片岡監督が率いる同チーム。メカニックやエンジニアは昨年までのTGM Grand Prixのメンバーがメインという体制で、今年2月の公式テストからマシンを走らせている。

 迎えた3月7〜9日の開幕ラウンドだが、2台とも上位に食い込めず。第1戦では予選Q1で平良がトラックリミット違反でベストタイムが削除となり後方からのスタートとなったほか、決勝ではスタートで3つポジションを上げ入賞圏内間近に迫っていた小高が、9周目のS字コーナーで大湯都史樹(SANKI VERTEXPARTNERS CERUMO・INGING)と接触しクラッシュ。リタイアとなった。

 レース中盤には平良も福住仁嶺(Kids com Team KCMG)と接触してフロントウイングの翼端版を破損。それ以降は貴重なロングランの機会ではあったものの、正確なデータをとることができず、15位でレースを終えた。

「(S字で)ぶつかってしまったことについては、自分のせいなので、みんなに謝りました」と小高。スタートで順位を上げられただけに悔しい結果となった。

 一方の平良も「シケインの接触に関しては、お互いに避けられたアクシデントだろうなと思いました。僕が右側の縁石に乗って跳ねて“ドンっ”とぶつかった形です。その後はウイングも壊れてしまい、パフォーマンスが発揮できなかったので」と反省ムードだった。

 気を取り直して臨んだ翌日の第2戦だったが、2台とも思うようにペースが上がらず。平良が17位、小高が18位という結果に。なお、平良に対してはAstemoシケインでの小高とのバトルの際に、相手を押し出したとして黒白旗が出された。

「新しい体制で“初陣”になりましたけど、なかなかうまくいきませんでした。ほろ苦いデビュー戦になりましたね」と肩を落とすのは片岡監督。

「第1戦では小高は前半にリタイアとなり、平良も途中の接触でウイングの一部がなくなりました。目標としては第2戦につながるデータを取るようなレースにしたいと言っていたなかで、それが叶いませんでした」と、第1戦での出来事が第2戦にも響く形となったようだ。

「クルマ自体のパフォーマンス改善も必要ですが、現状のなかでふたりともすべてを活かしきれていないところが、特に予選では見受けられました。やはり後方グリッドだといろいろなことに巻き込まれるリスクも高いので、まずはパフォーマンスを上げることが一番の課題だと思っています」

 パフォーマンス改善については、ドライバーたちも大きな課題として受け止めている。小高は「ライバルに対してコンマ数秒ずつ負けているのが、30周走ると大きな差になっているので、もう少し細かい差を詰めていかないといけないと思っています」と語ると、平良も「今週末を振り返って一番のポイントは、パフォーマンス不足です。予選、決勝ともにスピードが足りず、特に決勝ではどの作戦を取っても、この辺りの順位で収まるのかなという感じでした。次のもてぎに向けては、とにかくスピードを上げていきたいです。今回のデータを持ち帰って、整理整頓をしなければいけません」と意気消沈の様子だった。

 新体制のチームとはいえど、ドライバー含めてスーパーフォーミュラの経験があるメンバーが集まっているといるなかで、このようなシーズンスタートとなったことは「(予想よりも)全然下でしたね。もうちょっとなんとかなるかなと思ったんですけど……」と片岡監督。

「やはり、パフォーマンスがあれば余裕が生まれますけど、パフォーマンスがないと無理したり焦ったりということが出てくると思います。あとはドライバーたちに関してはもう少しまとめて欲しかったなというところがあります」

 なかなかポジティブな話が少ない開幕ラウンドとなってしまったが、片岡監督は「いずれにしても育成チームという意味でいくと、ここからのスタートになります。これから右肩上がりで行って、それも(成長曲線を)急勾配にできればいいなと思っています」と次戦に向けて前を向いていた。

 そんなKDDI TGMGP TGR-DCだが、ひとつ気になる情報が入ってきている。先日YouTubeで配信されたトヨタイムズの番組で片岡監督は、シーズン途中でドライバーを入れ替える可能性があることを示唆。現在はレギュラーとして28号車が小高、29号車に平良が乗るという布陣になっているが、野中誠太が同チームのリザーブドライバーとして控えている。この3人を競わせながら実戦経験を与えるような形を模索しているようだ。

 当の野中は第3戦・第4戦で小林可夢偉の代役としてKids com Team KCMGからの参戦が決まっているほか、今回の第1戦・第2戦に関しても負傷欠場となったオリバー・ラスムッセンに代わってITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULから参戦。第1戦で17位、第2戦で19位という結果を残している。

 新たな体制でスタートしたKDDI TGMGP TGR-DCは、今後のドライバー起用にも目が離せない陣営となりそうだ。

[オートスポーツweb 2025年03月20日]

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