配達中の「駐車禁止」罰金は自腹…“免停でクビになった”ヤマト、佐川の委託ドライバー「過酷すぎる実情」

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2025年03月21日 09:01  日刊SPA!

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現役配達員の田中拓也さん(仮名・40代)
 全国のあらゆる人が当たり前のように利用している荷物の配送。国土交通省のデータによると、年間約51億個の荷物が運ばれているようだ。しかしその裏側では、宅配業者が過酷な環境で奮闘していることをご存知だろうか。
 今回、話を伺ったのは現役宅配業者の田中拓也さん(仮名・40代)。佐川急便やヤマト運輸から委託を受けた業者から、個人事業主として配達の仕事を受けているという。

 田中さんによると、1日1人あたり100個から多いときで300個近くの荷物を届けているようだ。そして仕事の性質上、駐車違反の取り締まりに悩まされながら日々働いているという。

「受け取る側となるお客さんに知ってほしいことがたくさんあります」と話す田中さんに、宅配業者の裏側と、私たち受取人ができることを聞いてみた。

◆知られざる「置き配」のルール

 ここ最近は多くの人が「置き配」を利用しているが、田中さんによると「置き配のルールを誤解している人が多い」という。

「私は委託業者として、主にヤマトと佐川の荷物を配達しています。置き配のルールは、どちらの会社も、原則として在宅している家にしか荷物を置くことができないんです。配達員はピンポンを押して、受取人が在宅していることを確認してから『置き配します』と伝え、荷物を置いていきます。ルールとして本末転倒のような気もしますが、トラブルを避けるためにも一声かけないといけないんです」

 しかし、このルールを知らない受取人も多いようで、ピンポンが鳴っても出てこないケースもあるようだ。もちろん出てこなかった場合も不在と同じことなので、基本的に置いていくことはできない。田中さんは、スムーズな配達のためにも、受取人に知っておいてほしいことがあるという。

「置き配を希望する場合は、ピンポンが鳴ったら『玄関に置いてください』と、ひと言かけていただけるとスムーズに対応できます。また、『〇〇(名前)です。玄関に置いてください』と名前を伝えることも重要です。宅配業者は、荷物の宛名と受取人が一致しているか確認する必要があるので、名前を聞けば安心してお渡しすることができます。置き配だから不在でもいい、置き配だからピンポン鳴っても出なくていい、といった考えの人もいると思いますが、原則として『受取人とまったくコンタクトを取らずに置いて帰ることはできない』ということを知ってほしいです」

◆配達中の“駐車違反”で免停のリスクも…

 また宅配業者にとって、もっとも大きな問題は駐車違反の取り締まりだ。田中さんは自身の経験を交えて説明する。

「配達中、どうしても駐車禁止の道路に駐車しなければならないときもあり、その際に駐禁を切られることがあります。委託業者の配達員として働いている場合、駐車違反の罰金は自腹です。駐禁を切られると1回で1万5千円の罰金が発生し、1日に100個運んだとしても、その売上が全て吹きとんでしまいます」

 罰金だけでなく、違反が積み重なると免許停止のリスクもある。この問題は、自車で配達する場合と委託業者からのリース車で配達する場合で事情が異なるようだ。

「委託業者の配達員として働く場合、委託業者から月に数万円で車を借りて配達するパターンと、自車で配達するパターンがあります。ここが大きなポイントで、自車の場合は反則金を払うだけでなんとかなりますが、リース車の場合、駐禁を切られたら必ず出頭しなければならないのです。出頭するともちろん違反点数が課されるわけで……」

◆免停になって契約解除に…

 田中さんは、実際に90日間の免許停止処分を受けた経験があるようだ。

「私は今でこそ自車ですが、仕事を始めた当初はリース車で配達していたので、違反をとられるたびに出頭していました。駐車違反だけでなく、一時停止の違反なんかも重なり、以前90日間の免許停止処分になったこともありまして……。2万2千円支払って講習を受けることで45日間に短縮されましたが、その間は仕事ができず、収入が途絶えました」

◆免停を理由に契約解除に…

 歩合制の仕事のため、突然収入がなくなってしまった田中さん。さらに、なんとその委託業者から契約解除されてしまったのだ。

「そのときの委託業者から、『その期間が働けないのなら』という理由で契約を解除されてしまったんです。人の入れ替わりなどの不運も重なりましたが、業務上ある程度は仕方のない違反をしながら仕事して、その影響で免許停止になったのに契約解除とは酷いですよね……。その後、別の委託業者で働くことになり、現在もその会社から仕事をもらっています」

◆受け取る側の“15秒の協力”

 田中さんは「受取人の協力が配達の効率を向上させるということを知ってほしい」と続ける。

「1回の配達時間を15秒短縮するだけで、全体の効率が大きく向上します。例えばオートロック付きのマンションにお住まいの方は、エントランスのインターホンで応答したら数分後に玄関に行くのはわかっているわけですから、玄関ですぐに受け取ってほしいです。なかにはインターホンを押してから1分経っても出てこない方もいまして……。私の場合、“1個配達するごとにいくら”という完全歩合の仕事なので、本当に1分1秒が大切だということも知ってほしいです」

 最後に田中さんは「皆さんの協力によって配達員の負担を減らすことできれば、大きく考えると宅配の料金値上げを食い止めることにもつながると思うので、可能な限り協力してください!」と話した。

 たった15秒の協力が彼らの仕事をより効率的にする。次に荷物を受け取るとき、ちょっとした心遣いをすることで、私たちの生活を支える宅配業者への恩返しに繋がるだろう。

取材・文/セールス森田

【セールス森田】
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント

このニュースに関するつぶやき

  • あのグリーンマンって、いない方が良くね?配送関係はやめとけよ。って、端から見てて、いつも思う。なりたくない職業1位です。嫌われる仕事だからな。
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