仕事で成長するために、どの「視点」で考えるのかが重要です。
「新入社員の視点」しかなければ、ずっと新入社員の思考のままです。逆に「部長の視点」で考えようと努力するうちに、部長と同じ思考ができるようになるのです。
新入社員の視点ではなく、多角的な視点を持つことで、仕事のやり方も変化します。例えば、おべっかを使って上司の指示通りに動くだけでは成長はありません。いまのままの思考レベルに留まってしまうからです。上司を超え、更なる発展を目指すには、新しい視点で考え、行動する必要があります。
私の目標は、入社時点で「自分の会社を経営すること」でした。ですから、新入社員のように「先輩はどう考えているか」ではなく、「社長ならこの状況でどう判断するのか、何を思うのか」を常に考えていました。
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生意気にも「上司の指示だから」という理由だけで動く先輩から、学ぶことはないと感じていました。役員にも、社長の真意を理解している人はいないように見えました。
だから私は社長を見習いたくて、その判断の理由を役員に質問していました。「私はこう思うのですが、社長はどうしてこのような判断を?」と尋ねると、生意気だと叱られることもありましたが、私はそれを自分のキャラとして貫き通しました。
仕事でもその態度を貫き、「なぜこれをやらなければならないのですか?」と常に質問していました。もしサラリーマンを続けていたら、出世とは無縁の、ただの生意気な社員で終わっていたと思います。
ただ、私は社長を目指していたのですが、全員が社長を目指す必要はありません。目標とする人物は人それぞれで良いのです。もし憧れの人が身近な存在で、話せる機会があるなら、質問攻めにする。「なぜそのような判断をしたのか」「どうしてそのような行動をとったのか」など、疑問に思ったことは何でも聞いてみましょう。
もし、目標とする人物像がまだ定まっていないとしたら、少しでも「かっこいいな、素敵だな」と思える、憧れの対象を見つけましょう。その人の話し方から人生観まで、あらゆる面を真似てみるのはいい訓練になると思います。仕事に限らず、プライベートな部分も参考にすることで、やがてはその人を超える存在へと成長できるはずです。まずは模倣を通して、自分のオリジナリティーを発揮することを目指しましょう。
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私も目標とする人に会ったときは常に質問して学んでいます。例えば、経営者になって数年経った32歳の頃の話です。当時、会社の利益が2億円という壁を超えられずに悩んでいました。その時、約100億の利益を上げている、とあるパソコン会社の社長と会食があり、「どうすれば2億の壁を超えられるのか」と質問しました。
すると、その社長は「もっと自分で考えてみないと。悩んで悩んで、どうしたらいいかもっと考えてみないといけないよ」と答えたのです。私は、マーケティングの方法や営業人員の最適な人数など、具体的なアドバイスを期待していたのでがっかりしました。むしろ「教えてくれないのか」と不満に思っていたくらいです。
しかし、いまになって振り返ると、なぜその社長がそう答えたのかがわかります。
まずは自分で悩み、考え抜くことが重要だったんです。
2億の壁に悩んでいた当時の私は、まだ考えが足りなかった。だからこそ「徹底的に考えれば、自ずと解決策は見つかる」と教えてくれたのです。その時にはわからなくても時間が経って理解できるような答えもあるのです。
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いま、一番質問しているのは、私の会社が傘下として入っている三光ソフランホールディングス株式会社の高橋誠一会長です。高橋会長の視点に立って考えつつも、常に「会長、何故そのような判断を?」と疑問を投げかけているので、煙たがられているかもしれません。同時に「私ならこう考えます」と提案も常に言うようにしています。
会長がなぜその判断をしたのかを学びつつ、時には会長の誤りを指摘することもあります。企業は社長の成長以上に伸びることはありません。社長が学習を止めれば、企業の成長も止まります。だからこそ、会長に会った時には聞き続けているのです。
ぜひ若手社員こそ、目標とする人に「なぜそのような判断をするのか」「なぜこのような結果になるのか」と積極的に質問して欲しいと思います。
【ポイント】
伸びない人は新入社員の視点しか持っていない。
伸びる人は目標とする人の視点で考える。
(菅沼勇基)
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