【エスピノーサ日産新社長インタビュー】経営再建中で気になるFE、スーパーGTの参戦「撤退するという意図も計画もございません」

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2025年05月17日 14:50  AUTOSPORT web

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4月に社長兼CEOに就任したエスピノーサ氏がフォーミュラE東京大会を訪れ、メディアの質問に答えた
 2025年フォーミュラE東京大会、2025 Tokyo E-Prixのストリートサーキットに5月17日、日産自動車の新社長兼CEO、イヴァン・エスピーノサ氏が来場。復活を目指す経営再建計画「RE:NISSAN」を発表したエスピノーサ新社長に話を伺う機会を得た。

 エスピーサ社長は、日産のフォーミュラEマシンのカラーリングを採り入れたチームをウエアに身を着けて取材に答えた。自身の“ハートビートモデル”について問われると、「フェアレディZ」だと笑顔で答えるエスピノーサ社長は見るからにカーガイで、快活。低迷する日産の雰囲気を変えてくれそうなオーラを持った人物だった。フォーミュラE、そして今後の日産のモータースポーツ活動について聞いた。

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エスピノーサ社長:本日は私どもにとってとっても大事な日です。Tokyo E-Prixは私たちのホームレースにあたりますので。今の会社の状況を受けまして、やはり私たちのファンや従業員は、いい成績を出すことで喜んでもらえると思っています。ご存知のように、日産にとってモータースポーツは『ハート』心、心臓の部分です。モータースポーツのいいところはチームスピリットを発揮できる、証明できるということです。チームとして勝利するか、チームとして敗北するか、どちらかです。私としては、今の会社の状況を考えると、まずは会社を一致団結させてワンチームにしようとしています。そして、ワンチームとして勝つ。これが今、私が掲げている目標です。今日は、私にとっては感動的な一日なんです。みなさまに日産の力を証明できます。まさにこのレーストラックで。そうすれば、従業員も一致団結してやるぞという気になります。そう思っています。

——決算会見では台数や工場閉鎖、人員削減などのビジネスの話が多かった。今日、お聞きしたいのは、イヴァン社長はこれからどんな日産にしていきたいか、どのようなクルマで、どのように幸せをユーザーにもたらしたいのかについてです。

エスピノーサ社長:決算会見では経済界、いわゆる(株式)市場にメッセージを発信する必要がありました。ご存知のように私は前の仕事でも、プログラムマネージメントという商品企画の担当だったので、ふたつの脳を持っています。ひとつはファイナンシャルの脳、もうひとつは情緒・エモーショナルな脳です。会見では、いわゆる財務の脳で話をしていたということです。ただ、今は将来に向けていろいろ積極的に取り組みを進めています。今の考えていることを申し上げると、日産はもともとのオリジン、原点に戻るということです。日産自動車は、まずはお客様を深く理解することが強みです。だからこそ、数多くの日産固有の日産ならではのクルマがあるのです。それぞれクルマは違います。それと味付けがあります。お客様を深堀りし、理解をして、お客様との心とのつながりは深くなります。もちろん、スポーツカーだけじゃなくて、どのクルマにも存在意義があります。情緒に訴えるようなクルマで、そこに改めて火を着けたい。決算発表の場で申し上げましたが、いわゆるハートビートモデルの話をしました。ハートビートというのはスポーツカーだけじゃないんです。本当に自分の心に近くなる、心に刺さるクルマということです。たとえば日産リーフ。日産リーフも新型を導入してまいります。日産の開発能力と日産の精神を組み合わせてお客様の心に近づける、これがゴールなのです。

——モータースポーツについてお聞きします。今日はこのフォーミュラE東京大会の場にたくさんの日産のモータースポーツファンが集まっています。今の日産の状況を考えて、もしかしたら日産がモータースポーツをやめてしまうのではないかと心配しているファンもいると思います。フォーミュラEやスーパーGTの今後の活動はどのようになりますか?

エスピノーサ社長:撤退するという意図も計画もございません。だから私は、今日こちらに来ているんです。まさにモータースポーツは日産のコアなのですから、引き続きモータースポーツの活動は推進してまいります。多くのファンがいらっしゃるし、日産のスピリットを発揮できていますよね。競争の精神、ワンチームの精神、そして勝つために戦うという精神、これは維持していかなければなりませんから。

——現在、フォーミュラEには日本人ドライバーがいません。社長が決めることではないかと思いますが、今後、日本人を乗せたいという気持ちはありますか?

エスピノーサ社長:ぜひ、そうしたいですよね。フォーミュラEはドライビングのスキルが(他のカテゴリーとは)違うんですよね。エネルギー管理をしなきければいけないし、ブレーキポイントも違う。コーナリングでもエネルギーをうまく管理しなければならない。しかも、超接近戦が多いレースです。ですから、いいドライバーを育成したいと思っています。日本とのつながりが素晴らしいものになるし、日本人ドライバーがフォーミュラEにいれば、ストーリーができると思います。

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Profile:イヴァン・エスピノーザ 日産自動車 代表執行役社長兼最高経営責任者

2001年5月モンテレイ工科大学機械工学部卒業、2003年にメキシコ日産自動車会社で商品企画を担当し、2008年にタイ日産自動車会社 マーケティングダイレクター 兼リージョナルプロダクトマネージャー ASEAN地域LCV 担当。2018年に日産自動車株式会社 常務執行役員 グローバル商品戦略&商品企画を担当したのち、ニスモ、モータースポーツの経営にも関わり、今年4月に現職に就任。

[オートスポーツweb 2025年05月17日]

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