「侍タイ」安田監督、田植えを親戚に任せて"戦友"が12年かけ作った「渇愛」応援に駆けつけた

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2025年05月17日 20:15  日刊スポーツ

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映画「渇愛」公開記念舞台あいさつに登壇した、左から岩松あきら監督、加藤睦望、石川野乃花、獅子見琵琶、安田淳一監督(撮影・村上幸将)

愛知県三河地方を拠点に活動する、地域活性を目指した自主映画製作プロジェクト「三河映画」第2弾の「渇愛」公開記念舞台あいさつが17日、東京・池袋シネマ・ロサで行われた。


この日は、小学校教師を辞し、12年から12年かけて同作を作り上げた岩松あきら監督(57)と17年前に出会った“戦友”で、同じ池袋シネマ・ロサ1館での上映から日本アカデミー賞最優秀作品賞&編集賞の2冠に輝いた「侍タイムスリッパー」の安田淳一監督(58)が応援に駆けつけた。地元の京都から上京した同監督は「親友の監督の晴れの日ということで、京都から駆けつけました」と檀上で笑みを浮かべた。


京都で米農家を営む安田監督は、ちょうど田植えの時期で多忙を極めており「今日ですか!? と…。でも、行かせていただきますと、親戚に手配をしました」とスケジュールを調整したと明かした。ただ、この日は雨となり「結果的に大雨だったので、来て良かった」と笑った。


田植えを親戚に任せてまで上京したのは恩義…そのひと言に尽きた。07年の初監督の短編「シークレットプラン」が、岩松監督が運営する愛知県豊田市で開催される自主映画祭「小坂本町一丁目映画祭」で上映された。その際、出会った人の縁がつながり、14年の長編初監督作「拳銃と目玉焼」を製作することができた。「『拳銃と目玉焼』を作るきっかけをくださった恩義もある」と感謝した。


そして、岩松監督と撮影の沓澤武志氏が「渇愛」に12年、ささげてきた事実を紹介。その上でこの日、登壇した主演の石川野乃花(年齢非公表)加藤睦望(33)獅子見琵琶(63)をはじめ、俳優陣の妥協のない役作り、演技を絶賛した。


安田監督 岩松さんは教師を辞めましたし、カメラマンの沓澤さんは愛知の超優良企業を辞めて、一からカメラの勉強をした。(俳優の)女性もスキンヘッドしまくりで撮っている。本当に衝撃的。すごい熱演で、演者の皆さん、拍手ですわ。脱ぐのもすごいけど、うら若き人もお姉さんも髪を剃っている。


「渇愛」は、元小学校教師の岩松監督が、かつての教え子から聞いた実話を基に「やせなければ愛されない」という考えにとらわれ、次第に摂食障害に陥る大学生の物語。摂食障害や、若い女性に蔓延するやせていることへの過度な願望は今や深刻な社会問題となっており、危機感を抱いた同監督が12年に企画を立ち上げ、16年に撮影。17年の追加撮影や編集などポストプロダクション含め、12年もの歳月を費やして完成させた。


岩松監督は「愛知の人間ですけど、東京に移り住み、チラシを配り始めて62日」と切り出した。「この映画を作ろうと思って12年。24年、務めた教員を辞めて12年、作ってまいりました」と感慨深げに語った。そして「安田監督が立派になって舞台に立ててうれしい。愛知で映画を作っているので東京に知り合いがいない。集客に苦戦しているが、後悔したくない」と意気込んだ。


この日は、主人公大村早紀役の石川野乃花(年齢非公表)姉の翔子役の加藤睦望(33)トモエ役の獅子見琵琶(63)も登壇した。


◆「渇愛」大学生の早紀は、はたからは家族関係も問題なく平穏な生活を送っていたが、心の奥に孤独を抱えていた。ある日、キャンパスで玲奈の存在を知り、一気に魅了される。玲奈のようにやせて美しくなり、誰からも愛されたいという思いが芽生えるが、早紀と玲奈の関係は悪化。傷ついた早紀はストレスから食べ吐きを繰り返し、摂食障害に陥ってしまう。治療のため山奥の施設に入所し、入所者との共同生活を送るが、その先には予想もしない出来事が待っていた。

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