記念撮影に臨む(右2人目から)カナダのシャンパーニュ財務相、ベセント米財務長官、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長、カナダ銀行のマックレム総裁=21日、カナダ・バンフ 【バンフ時事】22日閉幕した先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、トランプ米政権の関税政策に対する懸念表明が相次いだものの、中国を念頭に過剰生産問題などへの連携した対応で合意するなど、協調姿勢を打ち出す成果を得た。ベセント米財務長官は、欧州や日本の財務相らと精力的に会談する一方、メディア露出を控えて他国との溝が浮き彫りになるのを防ぎ、G7「結束」の演出に一役買った格好だ。
米政権は4月、相互関税の90日間一部停止を決め、各国・地域との協議を本格化させた。英国とは一定の合意を得たものの、日本とは依然として協議中。欧州連合(EU)とは水面下での交渉が続いており、G7諸国との関税政策を巡る摩擦は収まっていない。
穏健派とされるベセント氏は、ドイツ、フランス、カナダの財務相と相次ぎ会談。加藤勝信財務相とも為替などを協議し、各国との関係構築に努めた。一方で、前政権では恒例だった記者会見はなし。2国間会談についても、日本を除くと米側から公式発表はないままだ。メディアの公式取材にもほとんど応じておらず、「異例の目立たない姿勢」(ロイター通信)に徹した。
ただ、米国にとって会議の成果は大きい。米国が重視する中国を念頭に置いた過剰生産問題などでは「透明性を欠く国々が引き起こす損害に対処するため、広く連携したアプローチを取ることに合意」と声明に明記。踏み込んだ対応を引き出した。
もっとも、中国を巡っては、経済的関係が深い欧州から「協力できる重要なパートナー」(ロンバール仏財務相)との声も出ており、「戦略的競争相手」と位置付ける米国との温度差が見られる。EUや日本との関税交渉が難航する可能性もあり、G7の「結束」を維持できるかは予断を許さない状況だ。