今村卓 丸紅経済研究所社長(丸紅提供) 丸紅経済研究所の今村卓社長は23日までにインタビューに応じ、米国の関税措置を巡る日米閣僚級交渉の展望を語った。米国内での生産にこだわるトランプ政権の理解を得るため、日本としては対米投資の拡大が交渉カードになるとの見方を示した。主なやりとりは次の通り。
―3回目の日米交渉が行われる。
ベセント米財務長官がいなければ、そもそも協議にならない。進展の機運が出ているのか不透明だ。日本は自動車を含む一連の関税撤廃を要求しており、米国側と話をつけにくくなっている。米国の関心もトランプ大統領の減税措置などに移っている気配がある。
―英国や中国が日本より先に米国と合意した。
米国は日本は御しやすい相手と考えて一番目に取り組んだが、勘違いをしていた。日本が自動車関税などの撤廃にここまでこだわるとは思っていなかった。米国には一貫した交渉戦術がない。
―日本の交渉カードは対米投資拡大か。
国内生産へのトランプ政権のこだわりはかなり強い。関税を引き上げても米製造業の復権はまずあり得ず、米国の現実認識は甘い。ただ、日本も付き合うことを優先しないと、米国は(交渉に)乗ってこないだろう。日本は対米投資の実績を持ち、説得力がある。現実的に投資や雇用が増える方法を一緒に考えていくことになる。
―農業分野の交渉はどう展開するか。
米中が折り合うと、中国が買わなくなったものを日本が引き受けるという前提が崩れる。米国にとってコメは主要生産物ではなく、そこまで関心がなさそうだ。日本にとっても、今からスキームを決めて輸入を拡大しても、コメ不足とは関係ない時期に入ってくる。