話題の「NISA」を医師が今すぐ始めるべき3つの理由

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2025年06月12日 12:21  All About

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近頃やたらと目にする「NISA」。世界的に株式市場が暴落し、始めるのをためらう方もいるようです。しかし、この制度は早くスタートするほど、メリットが大きくなる制度です。とりわけ医師が今すぐ始めるべき3つの理由を説明します。

医師が今すぐNISAを始めるべき3つの理由

近頃やたらと目にする「NISA」。気になってはいるものの、自分にとって本当にメリットがあるのかどうかが分からなくて、まだ始めていないという方も多いのではないでしょうか? しかも、最近では世界的に株式市場が暴落し、それに伴い投資商品の価格が軒並み下落しているという話もあり、始めるのをためらう方や、口座をつくったのにまだ何も買っていないという方もいるようです。

しかし、この制度は早くスタートするほど、メリットが大きくなります。そこで、今回はNISA制度の概要と、とりわけ医師が今すぐ始めるべき3つの理由を分かりやすく解説しましょう。

理由1:税金がゼロになるお得な制度だから

まず1つ目の理由は、「節税になるから」です。

そもそもNISAとは、投資で得た利益に対して税金がかからない「少額投資非課税制度」のこと。投資で得た利益に対しては通常、銀行預金の利息と同様に約20%(20.315%)の税金がかかりますが、NISA口座で取引した場合は一定の範囲内でゼロになります。

これは、国が個人の資産形成をバックアップするために、2014年に創設した制度です。なぜ最近話題になっているかというと、2024年1月にこの制度が大幅にバージョンアップして、よりお得な制度に生まれ変わったからです。

まず制度自体が恒久化され、それまで最大でも年間120万円だった限度額が360万円に増え、非課税期間も無期限となりました。

また、それまでは投資信託を少額で長期投資するのに向く「つみたてNISA」と株式など幅広く投資が可能な「一般NISA」のどちらかの制度を選ぶ必要がありました。しかし、2024年からの制度では「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」に、「一般NISA」は「成長投資枠」となって、併用ができるようになりました。

さらに、生涯最大1800万円(「成長投資枠」はそのうち1200万円※)と非課税枠が大幅に拡大したのです。

※「つみたて投資枠」は年間限度額360万円のうち120万円まで
NISA制度の概要

例えば、ある投資商品を100万円分購入し、それが150万円に値上がりしたときに売ったとすると、差額の50万円が売却益になります。通常はこのうち2割の約10万円が税金として引かれ、約40万円しか受け取れませんが、NISA口座なら丸々50万円受け取れます。もちろん、利益が多ければ多いほど節税額は大きくなります。

しかも、非課税となるのは売却益(キャピタルゲイン)だけでなく、配当金や分配金などのインカムゲインも含まれます。インカムゲインは保有期間中ずっと受け取れるので、長く保有し続ければそれだけ節税効果も大きくなります。

高所得な人ほど、それだけ課税負担は大きくなります。そうした人こそ、NISAのような節税効果のある制度を活用することが重要です。

理由2:インフレが進めば銀行預金の価値は目減りする!

2つ目の理由は、「インフレに打ち勝つためには投資が必要だから」です。

現在、お米をはじめ、食品、日用品、ガソリン、外食など、あらゆるものの値段が上昇しています。こうした物価上昇(インフレ)は日々のお財布に厳しいばかりでなく、これが続くと相対的に現金の価値が下がっていきます。

「投資」と聞くと、これまで銀行預金しか利用したことがない方にとっては「怖いもの」というイメージがあるかもしれません。でも、銀行預金の金利は上昇したといっても依然1%未満の低水準で、なかなかお金は増えません。そればかりか、「元本保証があるから大丈夫」と思って預けっぱなしにしていると、インフレの進行で銀行預金の価値は実質的に目減りしてしまう可能性があるのです。

その点、投資商品だと運用成果次第ですが、年5%、7%といったより高い利回りで増やすことも不可能ではありません。もちろん、元本保証がないので運用がうまくいかなければ元本割れする可能性もありますが、そのリスクを抑えながら運用する方法はあります。資産の目減りを防ぐには、やはり「貯蓄から投資へ」の流れがマストだと言えるでしょう。

理由3:早く始めるほど、節税メリットは拡大

そして、今すぐ始めるべき3つ目の理由は、「早く始めるほど節税効果が高いから」です。

資産運用で重要なのは、「長期」「分散」です。長期間運用するほど、利息が利息を生む「複利効果」によって、お金の増え方が早く、大きくなっていきます。今回NISAの制度が恒久化、無期限化されたことで、できるだけ早く、多くの資金で利用するほど非課税運用期間が長くなり、その効果も大きくなります。また、インカムゲインも積み重なっていくので、節税メリットは拡大します。

「投資にはリスクがつきもの」とよく言われますが、投資の「リスク」とは単に「危険」という意味ではなく、価格が変動する商品を保有することによる「利益変動のブレ」を指します。そして、そのブレをできるだけ抑える有効な方法が「分散」です。

例えば、特定の会社の株式や1つの国の債券に集中して投資してしまうと、それが値下がりしたときに一方向にダメージが大きくなります。でも、輸出株と内需株、先進国と新興国など、価格変動の傾向が異なる分野や地域に分散しておけば、1つがダメでも他がカバーしてくれる可能性があります。

NISAの主力商品である「投資信託」は、多くの投資家から集めた資金をまとめ、専門家が投資先を選んで運用する金融商品です。1万円前後から購入でき、国内外の債券や株式など、幅広い分野に間接的に分散投資ができます。

また、一度に多額の資金を投じて投資商品を購入すると、タイミングによっては高値でつかんで損する可能性がありますが、何回か時期を分けて買えば単価が平準化されます(時間分散効果)。つまり、投資の対象や時間を分けることで、投資のリスクは軽減できるのです。

なお、NISAはある程度資産がある人や投資をしたことがある人のための制度だと思っている方もいるようですが、それは誤解です。現在手元に多額の資金がなくても、投資経験がなくても、「つみたて投資枠」で毎月コツコツ積立投資を続ければ、非課税で資産を形成できます。一度設定すれば自動的に積み立てられるので、医師のような忙しい方にも最適です。

このように、NISAは長く使うことで節税+リスク分散の効果が広がり、有利な資産運用が可能なので、今すぐ始めるのが得策と言えるでしょう。

文:三枝裕介(さえぐさゆうすけ)

個人投資家向けマネー雑誌『MONEY JAPAN』(現KADOKAWA)で副編集長、書籍編集長などを経て、独立。2011年には、財務省の広報誌『ファイナンス』で1年間特集記事を担当した。2018年、休刊していた『ネットマネー』(産経新聞出版)を株式会社ZUUにて復刊、編集長を務める。2020年にマネーライターに転身し、現在に至る。
(文:All About 編集部)

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