防衛省の吉田圭秀統合幕僚長(2024年12月撮影) 太平洋上で中国空母などの警戒監視中だった海上自衛隊機に中国軍戦闘機が異常接近した問題で、自衛隊制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長は12日の定例会見で「深刻な行為だ。警戒監視を緩めれば、一方的な現状変更を既成事実化させる可能性は十分ある」などと述べ、危機感をあらわにした。
その上で「(一方的な現状変更を)抑止する態勢を示していきたい」と説明。23年に開設した日中防衛当局間のホットライン(専用回線)については、「相手国との関係がある」として使用の有無を明かさなかった。
中谷元防衛相は同日の衆院安全保障委員会で、「偶発的な衝突を誘発する可能性があることから深刻な懸念を表明し、再発防止を厳重に申し入れた。警戒監視活動などに万全を期していく」と述べた。
防衛省によると、7日午前11時ごろまでの約40分間と、8日午後3時ごろまでの約80分間、太平洋上の公海上空で、警戒監視中の海自機P3C哨戒機に対し、中国軍の空母「山東」搭載のJ15戦闘機が追尾するなどした。高度差のない状態で複数回急接近し、一時約45メートルまで迫った。