被害が深刻化する特殊詐欺対策として、警察庁と3メガバンクなどが、被害の疑われる口座情報の提供に関し、近く協定を結ぶことが17日、関係者への取材で分かった。
同庁は同種の協定をゆうちょ銀行など2行と結んでいるが、メガバンクと結ぶのは初。口座数の多い銀行が加わることで、対策の実効性向上が期待される。
関係者によると、新たに協定を結ぶのは三菱UFJ、三井住友、みずほ、三井住友信託、りそな(グループ4行)の計8行。
各行には自行の口座取引をモニタリングするシステムがあり、マネーロンダリング(資金洗浄)などが疑われる取引を検知した場合には、犯罪収益移転防止法に基づき金融庁に届け出ている。ただ、金融庁から警察に情報が共有されるまで時間がかかる問題点があった。
協定では、多額の不審送金など詐欺の可能性が高い取引を検知した場合、各行は速やかに警察庁や各警察本部に直接通報する。これを受け、警察は捜査したり、口座の契約者に注意喚起したりする。
SNS型投資詐欺やロマンス詐欺は、一定期間相手とやりとりが続き、その間に何度も金銭を取られる事例が多い。協定により、警察がいち早く対応することで、被害を途中で食い止められる可能性が高まるほか、早期把握や資金の流れの解明などにも役立つ。
警察庁は銀行側と連携を深め、最新の詐欺の手口を反映させるなどしてモニタリング精度をさらに向上させたい考え。銀行関係者は「被害拡大防止につながることを期待する」と話している。