
6月19日、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の第59回が放送された。国民的アニメ『アンパンマン』を生み出した漫画家・やなせたかし氏が夫婦で生きた激動の時代が描かれており、放送が進むにつれて視聴者を釘付けにするストーリーが展開されている。
その中でも今回の放送の“ある演出”が話題になった。(以下、6月19日放送回のネタバレを含みます)
異例の構成に視聴者から反響
「これまでは放送が開始されるとすぐ、オープニングに『あんぱん』のタイトルロゴとともに、ロックバンド『RADWIMPS』が手がける主題歌『賜物』が流れる構成になっていました。しかし、今回はそのオープニングがありませんでした。『あんぱん』では今までになかった演出に驚いた視聴者も多くいたと思います」(テレビ誌ライター)
実際にXでは以下のようなコメントが上がっていた。
《今日は、あんぱん初めてのオープニングクレジットなしだった》
《始まった瞬間.....「アレ?オープニング流れてなくない???」って静かにざわついたの私だけじゃないはず》
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そんな違和感を覚えながら始まった放送。しかしその後の物語の流れで、オープニングがなかった意味を察した視聴者も多くいたはずだという。
「今回は北村匠海さん演じる柳井嵩が、空腹のため中国の戦地で生死を彷徨い意識が朦朧とするなか、亡き父・柳井清との対話が描かれていました。その柳井を演じたのが嵐の二宮和也さん。これまで静止画でしか出てこなかった二宮さんですが、動く彼のサプライズ登場に視聴者は驚いたと思います。死と隣り合わせの戦時中の危機迫る描写と、親子の絆が描かれたシーンには視聴者もかなり引き込まれたのではないでしょうか」
オープニングがなく、番組の最後に主題歌を流す演出は最終回などでときどき見られるが、今回はオープニングだけでなく、主題歌も流れなかった。『あんぱん』の制作統括の倉崎憲チーフプロデューサーが、スポーツ紙にこうコメントしている。
《“間”も含めてなるべく現場で起きているリアルなこと、言葉をカットせずにありのまま放送に出したかったのです(中略)タイトルバックの74秒を、どうしても台本を超えて現場で生まれたものに使いたく、初めてタイトルバック・主題歌を入れない決断をしました》
俳優陣の迫真の演技と制作側の意図の相乗効果で、いつもよりさらに目が離せない展開になった『あんぱん』。今年は戦後80年。『あんぱん』が描くリアルな戦争の描写が視聴者に届くことには重い意味があるだろう。
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