写真 2024年のレコーダー出荷台数は104万5000台、普及率は53.0%という状況だ。BCNランキングの商品マスターを調べてみたところ、新製品の発売機種数も年々減少している。普及率と発売機種数の動きが市場の縮小につながっているのではないだろうか。出荷と普及率、発売機種数の推移をみていく。
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●レコーダー市場は19年から6割減
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、レコーダーの国内出荷統計は、コロナ禍前の19年では252.5万台だった。21年に200万台を下回り、その後も右肩下がりで推移し、24年は104.3万台まで減少。19年と比較すると6割減少したことになる。
動画配信や見逃し配信などの各種サービスの普及・拡充が大きな要因だ。このまま行くと出荷台数が年間100万台を切るのは、そう遠くない未来に現実のものとなりそうだ。
内閣府が毎年3月に発表する消費動向調査でも、同じような結果があらわれている。総世帯における、光ディスクプレーヤー・レコーダーの普及率は、19年が66.1%で、その後24年まで6割を維持していた。しかし、25年の普及率は53.0%と一気に10ポイント近く減少した。
また同調査によると、100世帯あたりの保有数量でも23年までは100台、つまり1世帯に1台の水準を維持していたが、24年には93.8台と1世帯1台を下回り、25年は70.4台とさらに減少している。
●発売機種数は5年で4分の1に減少
では、新たに発売になる機種数はどういう状況なのだろうか。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」に登録されている商品マスターを使い、19年以降の新製品の発売機種数をカウントした。すると、搭載しているHDDの容量違いなどを含め、19年は48機種だった。
20年と21年も40機種前後を維持していたものの、22年には22機種とおよそ半減。23年はさらに10機種まで減少。24年は11機種と前年並みに踏みとどまるも、5年の間に新機種は4分の1まで減少した計算だ。
先にも書いたように、レコーダー市場の縮小は配信サービスの拡充によるところが大きい。売れないから出荷を絞る、出荷数を絞るから普及率や保有数が下がる。新製品が減少するから売れないという負の連鎖が起こっている。
以前は、放送波をテレビで受信して観るというスタイルだった。しかし、現在は配信サービスに接続し、スマートフォンやタブレット端末などで観るという選択肢も増えた。ライフスタイルの変化を背景に、レコーダー市場は凄まじいスピードで縮小している。ニッチな市場へと様変わりする可能性も高い。(BCN総研・森英二)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。